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基本データ 正式名称 パリス 登場作品 ファイアーエムブレム 紅炎の奇跡(笑) 年齢 17 好きなもの ロングソード 嫌いなもの デロス兵 大切な人 人物像 さいきょうの剣ロングソードを武器とする。 技 B ↑B 凱↑旋→門↓ 横B ↓B 最後の切りふだ
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前へ 暗い暗い闇の中。 僕はずっとその中を泳いでいた。 いや、正確には僕は泳げないから、漂っていたと言った方が正しいかな。まぁそれはどうでもいいけどね。 ところで、僕はどの位の距離を、何時間、何日、いや何ヵ月泳いでいたのだろう。 それは僕には、全く分からなかった。 見当もつかなかった。 ただ、あの忌まわしい記憶は残っている。 シジマさんや海パン野郎達を躊躇無く殺していった事を。 僕は突然、言いようもない感じ(罪悪感って言うのかな)に襲われ身震いした。 何故あんなことをしたんだろう。 心が痛くなった。 その時だった。 突如目の前の闇を突き破り、一筋の光が差しこんだ。 その光は形を変えてゆく。 それは人の形をしている。僕の大好きな人。 僕はそれが誰か知っていた。 「しっ、しずかちゃん!」 僕は叫びをあげ、しずかちゃん元へ無我夢中に泳ぐ。正確にはもがく。 しかし泳げども距離は縮まらない。僕は自分の水泳の才能を呪ったが、そんな事はどうでもいい事だった。 しずかちゃんは言った。 しずか「………たさん……びたさん……のび太さん。」 のび太「しずかちゃぁぁーーーーん!」 彼女の囁きで、僕はもがきのペースを早めた。 いつのまにか涙が溢れ、顔はぐちゃぐちゃになっていた。 しずかちゃんはそんな僕に、一瞬微笑みを浮かべると僕の方へ(まるでタケコプターでもついてる様に)飛んで来た。 のび太「しずか……ちゃん?」 僕は囈の様に言う。 すると、しずかちゃんはもう一度僕に微笑みを投げ掛け、耳元で一言囁いた。 しずか「のび太さん……。 皆を……皆を……助けてあげて……。」 しずかちゃんはそう言うと僕の元から離れ、上の方へ(闇の中で言うのもなんだけど、まぁ僕の頭がある方が上だろ。常識的に。)飛んでゆく。 のび太「しずかちゃぁぁーーん!」 僕は懸命にしずかちゃんを追いかける。 のび太「しずかちゃん! 皆を……皆を救うってどういう事!? ねぇ!しずかちゃん! 待ってよぉー。ねぇったらぁ!」 僕はかつて無い程の必死さでしずかちゃんを目指す。 涙と鼻水で化粧された顔は、かなり不細工なものになっていたであろう。 しかし僕は泳いだ。 しずかちゃん目指して。 僕の心の一つの輝き、そして光。それを目指して。 僕は光を求め、重いまぶたを開いた。 舞台は戻って自然公園。 のび太「………うーーん……。」 今にも起き上がろうとするのび太にゲンガーは唖然とする。 ゲンガー「な……何故こんなに早く起きれるんだ……。」 ドラえもん「僕は始めから思ってた。 君を捕まえる事は出来ないってことをね。 だから、ボールを囮にして『はっかのみ』をのび太君に投げ与えたんだ かなりリスキーな作戦だけど成功して良かったよ」 ドラえもんの言葉を聞き、ゲンガーはぎょっとする。 ここでわざわざのび太を起こしたということは、次に来る策はただ一つ。 ゲンガー『俺をボールに回収する気だなッ!』 ヤバイ、これはマジでヤバイ。 奴があの眼鏡猿を起こしたのは、自分の『所有者』であるのび太に自分をボールに回収させる為だろう。 ボールの中に入れば如何に自分のレベルが高かろうと無力な存在。 眼鏡猿の所有権は解除してしまったから、もう一度、あのルールを満たさない限り奴を操る事は出来ない。 故にボールに収められたらもう終り。 絶対絶命のピンチだ。 しかし、まだ希望が潰えた訳では無い。 ノートのルールにより、のび太はここに至るまでの過程の記憶が全く無い。 故に、今すぐこの状況を理解する事は到底不可能だろう。 奴の単純な性格は、タンバまでの追跡、数日間を共にした日々で良く分かっている。 自分の話術なら、『かなしばり』が解ける残り数十秒位なら上手く時間を稼げるだろう。 解けたら即、あぼーんさせれば良い。 ゲンガーは簡単に作戦を立てると、まだ寝起きたばっかりののび太の元へと近づいた。 ゲンガー「おい、のび太!ヤベエぜ、お前がタンバで人殺したのがバレてんぞ。皆俺達を許さねえって言ってるぜ。どうするよ?」 とりあえず、今の状況を誤魔化す為に嘘の情報を流さなければ。 安い策だが、寝起きのまだ働いてない脳味噌には効果抜群だろう。 それを見たジャイアンはヤバイと思い、のび太に指示を飛ばす。 ジャイアン「おーい!のび太!騙されんな!早くそいつをボールに戻「アーーーーー、アーーーーー。 なんて言ってるのか聞こえないなぁ。アーーーーー。」 ジャイアン「あの野郎……。 ワザと大声を上げて、俺の声をかき消してやがる……」 ジャイアンは唇を噛む。 単純だが、時間を稼ぐには最良の手だ。 成程、最初にのび太に接近したのもこの為か。 ジャイアン「おーい!のび太!聞こえるだろうよぉーッ!のび太ぁぁ!」 ゲンガー「ワーーーーー、ワーーーーー。キシシシシシ。あのデブゴリラ。無駄なのによぉ。」 尚も声を上げるジャイアンを見てゲンガーはあざ笑う。 ゲンガー『さて、そろそろ『かなしばり』が消えるな。 そしたらまず眼鏡を消し去って……。ん?』 そこまで考えて彼は気づいた。目の前の少年の顔に。 涙でぐしゃぐしゃになり、憎しみを込めてこちらを睨んでいることに。 そして、一番ゲンガーの精神を揺さぶった事は、彼の手にモンスターボールが握られていた事だった。 ゲンガー「テメエッ!何を!」 のび太「何をって……?見たら……見たら分かるだろ…… 時間犯罪者……お前を……封じ込める!」 有り得ない。この状況で奴がこんな行動をとれるのは有り得ない。 第一、ここに至るまでの記憶は無いし、ジャイアンの指示も全て聞こえなくした。なのに何故…… のび太「僕は……夢を見た。 しずかちゃんの夢を。君が……君がしずかちゃんをッ!だから……君は……僕が封じ込めてやる!」 のび太はモンスターボールをゲンガーの方へと傾ける。 ゲンガー「ガキがぁぁーーーー!調子に乗るんじゃねぇーーーーッ!」 ゲンガーの激昂が天に轟いた瞬間、彼の肩がすぅっと軽くなった。 ドラえもん「ヤバイ!『かなしばり』が解けた!」 ドラえもんも叫ぶ。 ゲンガー「食らえッ!シャドーボールッ!」 のび太「戻れ、ゲンガー!」 凄まじい光が辺りに発生する。 その光に驚き、ゲンガーは目を瞑る。 そして彼は光が消えると、再び目を開いた。 目の前に、あのにっくき眼鏡猿は居ない。 ゲンガー「キシシシシシ。 キシシシシシ!」 ゲンガーの笑いが響く。 彼は辺りを見回すが、回りには最早誰もいない。 ゲンガー「みんな……みんな消し飛びやがったぁッ! キシシシシシ!雑魚共めッ!」 ゲンガーは笑った。笑う事しか出来なかった。 何故なら……彼は今檻の中の『無力な存在』だから。 あの瞬間……、始めに光弾を放ったのはゲンガーだった。 しかし、それがのび太にぶつかるかぶつからないかの瞬間、『あなをほる』で回りこんだジャイアンのイノムーが、二人の間に割って入ったのだ。 イノムーが吹っ飛ばされた次の瞬間……ゲンガーは無事ボールに回収されたのである。 舞台は戻る。 時間は止まっていた。 誰もすぐには動かなかった。 本当に終わったのか?そんな考えが皆を包んでいた。 しかし、しばらく時が経ち、ゲンガーが飛び出して来ない事を確信すると、スネ夫はヘナヘナとその場に腰をおいた。 スネ夫「……お……終わった……」 スネ夫に釣られたか、皆緊張の糸が解け、その場にヘタリ込む。 ジャイアン「勝ったのか……? 勝ったのか?俺達は?」 ドラえもん「勝ったよ……僕達は……」 ジャイアン「そうか………」 ジャイアンもすっかり骨無しになっている。 するとヘタリ込む三人の前に、目を赤くした少年がやって来た。 そいつは言った。 のび太「皆……皆……ごめん……本当にごめん…… 今まで何が起こってたか分かんないけど…… タンバの……タンバのシジマさんを殺したのは……僕なんだ……」 ジャイアン「なんだっ(ry」 思わず叫ぼうとしたジャイアンの口をドラえもんが塞ぐ。 そしてドラえもんは言った。 ドラえもん「それは本当かい?」 ドラえもんの問いに、のび太涙を拭き無言で懐から小さい何かを取り出す。 それは紛れも無く、タンバジムバッジ、ショックバッジだった。 のび太は続ける。 のび太「……誰にも……勝てなくて……僕が……泣いてた時……ノートを拾ったんだ…… そして……僕は……」 ドラえもん「それ以上言わなくていい。」 ドラえもんはそう言い、のび太にハンカチを差し出した。 ドラえもん「大丈夫だよ、のび太君。僕らは……君を許すよ」 のび太「ドラえもぉぉぉん!!」 のび太はドラえもんに抱きつき、体を任せた。 溢れる涙を止める事は出来なかった。拭えど拭えど止まらない。 ジャイアン「泣かせやがる………」 スネ夫「うん……」 二人も貰い泣きしていた。 その時、 ?「いやぁ、友情という物は美しい物だねえ」 見知らぬ男がこちらを見て拍手をしていた。 その姿はピッチリとしたスーツに包まれた、さながら戦隊もののヒーローのようだった。 スネ夫「誰だい?君は……?」 男「君に答える義務があるかい?」 スネ夫は素直な疑問を述べたが、男に即打ち消されてしまった。 その言葉にカチンときたのか、ジャイアンが男に詰め寄る。 ジャイアン「オイオイ…… お前が何処の誰だか知らないけどさ、何様のつも……」 ジャイアンの言葉はそこで止まった。 男の拳がジャイアンの体に当て身を食わせたのだ。 のび太「ジャイアン!」 驚きを隠せない一同に、一方男はトランシーバーのような物で誰かと会話する。 男「アー、こちら……。これから容疑者の確保に入る。 作戦開始!」 次の瞬間、 スネ夫「プギー!」 謎の光線に当たり、スネ夫が倒れた。 ドラえもん、のび太「スネ夫ーッ!」 のび太とドラえもんは反射的に光線の出どころを見る。 そこには、男と似たような格好をした女がそこに立っていた。 手には光線銃が握られている。 ドラえもん「一体これは何……」 男「おやすみ。」 男は光線銃を取りだし、その引金を引いた。 その場に二人の人間が倒れた。 男「よし、回収だ。」 男はのび太の元へと歩み寄り、その手から乱暴にモンスターボールを奪い取る。 のび太は薄れゆく意識の中、必死に意識を保ち彼らの話を聞いていた。 男「えー、もしもし? タイムパトロールですか?たった今容疑者を確保しました。 時代と次元は……」 のび太『タイムパトロールだって!?』 のび太は驚く。 女「待って、この子まだ意識があるわ!」 ヤバイ。 のび太の血の気が引く。 男「じゃあ、もう一発撃って早く眠らしちゃいなよ」 ビビビビビビビ。 それはのび太の聞いた最期の言葉になった。 ボールを回収し終えた二人は、迎えのタイムマシーンに乗り元の時代へと引き返していた。ついでにノートも回収してきた。 女が言う。 女「あの子達はどうしたの?」 計器を確認しながら男は言う。 男「別の班が動いてる。 記憶と時間を少々操作して現実世界に返してやるんだってさ。 多分彼らが次に目覚めるのは彼らの寝床だよ。」 女「そう。」 女は一息つく。 男「それにしても、最後にアイツを封じ込めたあのボールは凄かったな。 23世紀の科学顔負けだよ。 『モンスターボール』って言ったっけ? 同じ名前の秘密道具があった気がするけど」 男はゲンガーの入ったモンスターボールを手に取り、呟く。 女「時間犯罪者の記憶の操作は?」 女は再び疑問をぶつける。 男「『ゲームの記憶』だけ消し去ってるよ。 後、暴れないように力を弱くしておいた。 奴も23世紀に戻れば裁かれるんだろうな おっと……」 突如、タイムマシーンの機体が揺れ動く。 女「どうしたの?」 男「時間の乱気流にはいっちまったみたいだ。大丈夫、すぐに……おわっ!」 女「きゃあああああ!」 機体が大きく傾き二人は壁に体を叩きつけられた。 しかし一息つくと、また逆に叩きつけられる。 まるで箱の中に入れられて振り回されているようだった。 女「きゃあああああ!」 男「慌てるな!すぐに収まる!」 数分後、男の言う通り機体の揺れは収った。 二人はホッと一息つく。 女「イタタタタ……。 あんな時の乱気流は久しぶりに体験したわ。」 女は肩を押さえながら呟く。 男「そうだな……。くそっ、俺は膝をうっちまった……。ああああッ!」 男は突如すっとんきょうな声を上げた。 女「どうしたの?」 女の問いに、男は無言で計器を指さした。 女はそれを見て真っ青になる。 なんと計器がメチャクチャに壊れていた。 これでは航行不能だろう。 男「畜生!ここまで……ここまで来たのに……!」 女「嫌よ!私死ぬの嫌よ! ねぇ!どうするのよぉ!」 男「慌てるなッ! あ…………機体が……崩れてゆく……」 女「きゃあああああ!」 二人の健闘も虚しく、二分後船は時間と次元の波へと飲まれていってしまった。 「うーん……、はっ、ここは?」 明るい陽射しを浴び、『彼』は目を覚ました。 ここが何処かは分からないが、何とか自分が生きている事は分かる。 タイムマシーンが途中航行不能に陥った事は覚えている。 それと、自分が23世紀で犯罪を犯し、逃げてきた事も。 とりあえず、彼は意識をはっきりさせようと、顔を洗いに近くの水場へと足を運んだ。 「ん?やけに体が軽いな」 彼は自分の身の軽さに違和感を感じつつも、顔を洗いに水場へ顔を寄せる。 その瞬間、 「なんじゃこりゃあああああああ!!!!」 水面に映った自らの姿を見て、彼は100デシベルに達するか達しないかの声を張り上げた。 「え?え?どうなっちまってるんだ?」 彼は水面を除き込む。 その姿は幽霊や死神の様な類の姿をしていて、お世辞にも人間と呼べる様な物ではなかった。 「何だよコレマジで。こんなんじゃあまともに外も歩け……イテッ。」 すると、失意に沈む彼の上から何やら冊子の様な物が落ちてきた。 「イタタタタ、なんだよコレ……。」 彼は反射的にそれを見て拾いあげた。 黒いノートだ。 彼はこのノートをパラパラと捲り呟く。 「俺……このノート知ってる……。 使い方も……ルールも……。」 『彼』は呟く。『彼』は知らない事だが、どうやら「ゲームの記憶」を消されても「ノートの記憶」は残っていたらしい。 そして、自分は今『宿主』になる人間を探さなければならない事も何となく知っていた。 ?「よーし、ケーシィしか居ないけど頑張るぞー 僕が一番乗りで現実に帰るんだ!」 ヤベッ、誰か来る。 『彼』はノートを掴み、そそくさと物陰に隠れる。 数秒後、『彼』の前を如何にも頭が悪そうな少年が音痴な鼻唄を歌いつつ、通り過ぎていった。 現実?帰る?意味が分からない。 「あのガキは……とりあえず、跡をつけてみよう。 現実に帰るとか気になる事を言ってたし……。 頭悪そうだから……もしかしたら利用出来るかもな!キシシシシシ。」 彼はこっそりとのび太の跡をつける事にした。 彼がタンバでのび太少年にノートを与えるのはまだ未来の話。 そして、彼が今までこのシチュエーションを何度体験してきたかは、最早誰も知らない事であった。 そして彼は知らない。自分は今、無限の時の中で同じ事を無限に繰り返している事を。 そして舞台は現実世界に戻る。 ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ。 のび太「うーん。」 今日もけたたましく鳴るアラームの音。 のび太はそれを止めるべく、手を伸ばした。 カチッ。 スイッチを押された目覚まし時計は急におとなしくなる。 のび太「おやすみ……」 のび太は再び夢の中へとGO BACKする。 のび太は気づいていないが、今は8時。小学校ではとっくに遅刻の時間だ。 そして彼はまた気づいていない。目の前の鬼に。 「のぉびぃたぁ……!」 鬼が怒りを浮かべた声を上げるが、のび太は のび太「うーん、行けっ、ケーシィ…… ああ、テレポートばっかしないで戦ってくれよぉ。」 ママ「のび太ぁぁ!!!!」 のび太「うあああああああああ!」 ママの雷が落ち、のび太はトーストをくわえ家から飛び出した。 ドラえもん「やれやれ……のび太君は……」 ドラえもんは小さくため息をついた。 のび太はすすきヶ原町を学校目指し、爆走する。 のび太『最高速度で……この角度を……曲がるッ! のび太、いっきまーす!』 しかし残念ながらアムロ・のび太は角を曲がりきることは出来なかった。 突如、横から来た誰かにぶつかったからである。 「オフッ!」「スップリングッ!」 のび太はその衝撃で吹き飛ばされた。 のび太「イタタタタ……。誰だよ……。 ん?ジャイアン?」 のび太の顔が青ざめる。 ジャイアン「のび太ぁぁ!」 のび太「ひいいいいッ!」 のび太は死を覚悟した。 その時、 出木杉「やぁ、野比君に、タケシ君じゃないか。」 ジャイアン「出木杉ィ。」 ジャイアンは思わずのび太への攻撃を止めた。 ジャイアン「出木杉が遅刻なんて珍しいな。」 出木杉「今日は起きるのが遅くてね。 変な夢も見たし。」 ジャイアン、のび太「変な夢?」 のび太とジャイアンは気になり、訊く。 出木杉「いやぁね、皆でポケモンの世界に行くって夢さ。 余り覚えてないんだけど。」 ジャイアン「なんだぁ、その夢w」 ジャイアンは笑い出す。 出木杉「まぁいいよ、笑ってくれても、所詮夢だし。ああ、それと野比君」 出木杉はのび太の方を向く。 出木杉「僕の後ろからやす夫君とはる夫が来るんだ。どうせ遅刻するんだし、もう少し待ってようよ!」 スネ夫「まさか、優等生の出木杉がそんなことを言うとはね。」 嫌味な言葉と共に現れるスネ夫。 のび太「スネ夫!」 スネ夫は続ける。 スネ夫「ちなみに僕の後ろからはしずかちゃんが来るよ」 ジャイアン「なあんだ、皆遅刻してんじゃねえか。」 ジャイアンの言葉に、今度は皆が笑った。 そして数分後。 ジャイアン「よーし、皆揃ったな。じゃあ、学校目指してしゅっぱーつ。」 総勢七名の遅刻者は学校を目指し歩き始める。 誰もゲームの事を覚えていない。 学校には遅刻しているが、皆はこのふとした日常に幸せを感じていた。 のび太も、そんな日常がいつまでも続けばいいなと思った。 『キシシシシシ。』 のび太「ん?」 のび太は何か聞こえた気がして立ち止まった。 ジャイアン「おーい、のび太、何してんだよ置いてくぞ~」 スネ夫「全くのび太はノロマだな。」 のび太「待って、今行く~」 のび太は走り出した。 のび太『気のせい……かな?』 こうして青い空の下、彼らの日常はまた静かに過ぎてゆくのであった。 ―ポケモンとのび太とノートと完― あとがき 605 名前:ポケモンとのび太とノートと ◆C1aEnJaUS2 [sage] 投稿日:2007/06/01(金) 22 12 05 ID ??? これでポケモンとのび太とノートは終了です。 たびたびの猿さんには焦りましたが、最後まで投下出来て良かったです。 この作品を書き終えれたのも、単に初心者である自分を助けてくれた皆さんのお陰だと思います。 本当に今までありがとうございました。
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前へ 一方ドラえもん達はコウに遭遇し、逃走を試みていた。 フラッシュの光が辺りを包む。 コウ「クッ!何も見えない……。」 ドラえもん「よし!うまくいった。 早く逃げよう!」 作戦通りコウの目をくらます事ができた。 後はラジオ塔に駆け込むだけだ。 しかし、物事はそう簡単には進まない。 コウ「こっちの目が見えないなら君達の視界も奪うまでだ! 行けッ!リザードン!えんまく!」 コウは目が見えないながらもリザードンを繰り出し、えんまくで辺りの視界を奪う。 ドラえもん「くそっ! 僕達も何も見えない!」 ドラえもんが叫ぶ。 のび太を探すも、辺りは黒い煙で全く見えない。 ドラえもん「のび太くーん!!!」ドラえもんがのび太の名を呼んだ。 すると、すぐに返事が帰ってきた。 のび太「ドラえもん!聞こえる!? これじゃあ、お互い何も見えない! だからここは一気にラジオに向かってそこでおちあおう!いいかい!?」 のび太にしては賢明な判断だ。 ドラえもんはそう思った。 賢明過ぎる気もするが。 だが、確かにここはのび太の意見に従った方がよい。 ドラえもん「分かった!無事でね!」 のび太「うん!」 ドラえもんは方向感覚を頼りにラジオ塔へと走った。 しかし、のび太はその場を動かない。 のび太『ばかめ……。まんまと策に引っ掛かりやがったな。キシシシシ。』 のび太はコウと共にえんまくが晴れるのを待った。 スネ夫はコガネ百貨店の五階でキキョウを待ち伏せていた。 スネ夫『しかけてこない……。やはり逃げたか?』 スネ夫が五階のフロアに入ってから10分程経つ。 その間、敵からの攻撃の気配は全くない。 逆に不気味である。 スネ夫『逃げたなら新しい策を考えなきゃな……。』 スネ夫がそう思った瞬間だった。 階段の方から黒い気体のようなものが溢れ出てきた。 スネ夫「はん!読み通りくろいきりで来たか。 戦術が浅いんだよ!ノータリン!」 スネ夫が気体に向かって言う。 別に今能力をリセットされたとしても、全く問題ない。 この五階の商品はまだいくらでもある。 元に戻されたならまた上げればいい。 その間に攻撃が飛んでくるだろうが、こっちには二階で入手した回復アイテムがある。それらを駆使すれば、こちらがやられるより先に奴のくろいきりのPPが無くなるだろう。 スネ夫はニヤケながら徐々に部屋に侵入してくる煙と相対する。 しかし、様子がおかしい。 ポケモン達が煙に包まれるが、何故か全く変化が現れないのだ。 スネ夫「ん?なんで?」 スネ夫は首を傾げ、真相を確かめるべく不用意に煙に近づいた。 しかし、それがいけなかった。 煙を吸い込んでしまったスネ夫はその場で嘔吐した。 スネ夫「オエロウおろオロォロ!!!」 スネ夫は口から汚物をぶちまける。 違う。これはくろいきりじゃない! スネ夫はそう思った。 これは恐らく「どくガス」か「スモッグ」。 これなら火災報知器に引っ掛からず直接自分を狙う事が可能。 普通に襲うより、遥かにてっとり早く確実な手だ。 ガスは容赦なくこの部屋に侵入してくる。 スネ夫「くそっ! このままじゃ死んでしまう!」 充満するガスの中、スネ夫はハンカチで口と鼻を塞ぎ、階段の方へ走り出す。 スネ夫「階段を……、階段を登って屋上へ出れば……」 しかし、スネ夫の希望は無惨にも打ち砕かれる。 クモの巣が幾重にも重なり、屋上までの道を塞いでいたからだ。 スネ夫「これじゃあ外へ出れないじゃないか!」 スネ夫が悲痛な叫びを上げる。 屋上を封じられたスネ夫は他の脱出方法を考えるべく五階に戻る。 五階は既にガスが充満していた。 スネ夫は姿勢を低くし、脱出方法を探る。 通気口もプロペラがクモの巣にからめられていて、空気の入れ換えが出来ない。 窓には分厚そうなシャッターが下りている。 スネ夫「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ! こうなったら……。」 スネ夫は壁を睨んだ。 最後の脱出口は最早ここしかない。 スネ夫「オオタチ! ずつきで壁を砕くんだッ!」 スネ夫のオオタチのずつきが壁にヒットする。 しかし、壁はびくともせずヒビすら入らなかった。 スネ夫「おかしい!オオタチの攻撃力は限界まで上がってるハズ! こんな壁など砕けない訳が…………」 そこまで言ってスネ夫は喋るのを止めた。 「くろいきり」の存在を忘れていた。 こんな、同じような色のガスが充満している中では気付くハズが無い。 スネ夫「最早ここまでか……?」 どくけしをいくらか持っているが、所詮は消耗品。 いつかは尽きる。無駄なあがきだ。 スネ夫はガックリと頭を下げた。 キキョウは既にラジオ塔の外に出ていた。 キキョウ「残念ね。もう少し賢いコだと思ったのに。」 キキョウが呟く。 アリアドスには全ての脱出経路を塞げと言ってある。 百貨店からは、屋上のクモの巣の隙間から漏れたガスが空へと登っていた。 見ていたが、脱出した様子や気配は全くない。 マタドガスとアリアドスが帰ってくる。 あの百貨店の様子を見ると、上手くやったようだ。 キキョウ「お疲れ様。 あのコはどうしたのかしらね? もう、死んじゃったかしら? まあ念の為、あと五分程待つわ。」 五分の時が過ぎたが、あのキツネ顔の脱出してくる姿は捉えられなかった。 キキョウ「終わったわ……。 チョロいもんだったわね……」 キキョウが百貨店から背を向け、立ち去ろうとした瞬間だった。 彼女の目に有り得ない映像が映った。 スネ夫「誰がチョロいんだって?」 突如現れた、ここにいるハズの無い男。 キキョウは驚かずにはいられなかった。脱出した様子は全く無かったのに。 キキョウ「なんで!?なんでアンタがここに居るの!?」 キキョウが叫ぶように言う。 スネ夫「簡単さ。テレポートで脱出したんだよ。 さっきまですっかり忘れてたな。 しかもチョンボでポケモンセンターに行っていたのは良かったよ。 すぐに、ここまで来れるしね。エンジュに飛ばされちゃたまったもんじゃなかった。」 スネ夫が肩をすくめる。 キキョウ「なによ! くろいきりでアンタのポケモンの能力がリセットされた今、 戦力はあたしの方が圧倒的に上よ! 行けッ!ラフレシア、ようかいえき!」 スネ夫「浅いねえ。浅いよ。 オオタチ、ずつき。」 キキョウのラフレシアより圧倒的に早くオオタチが動く。 そして、オオタチとは思えない程のずつきをラフレシアにかます。 ラフレシアは一発で倒れた。 キキョウ「えっ……?くろいきりが効いてるハズじゃ……。」 キキョウは驚く。 あの強さは明らかにアイテムの恩恵を受けている。 しかし、自分はどくガスを流した後、同時にくろいきりを流し込まさせていた。 効いてないハズがない。 スネ夫「さて、借りは返させてもらうよ。」 スネ夫が言う。その足はジリジリとキキョウの方へと歩み寄る。 キキョウ「クッ!こないで! 何故効かなかったのかは分かんないけど……。 こうなったらヤケクソよ! マタドガス!くろいきり!」 マタドガスは口を大きく開き、口からくろいきりを噴射しようとした。 しかし、マタドガスは過呼吸を起こしたかのように苦しそうな表情を浮かべる。 出したいのに出ない。そんな風な感じ。 キキョウ「マタドガス?マタドガス? どぉして!?」 キキョウの悲痛な叫びが響く。 スネ夫はケラケラ笑いながら言った。 スネ夫「残念~。 実はくろいきりが来たときにスリーパーとエレベーターで一階に行って、マタドガスにかなしばりをかけていたんだよ。 だから、そこでくろいきりはストップ。 その後、ちょっと苦しかったけど、また五階に戻りアイテムを使ったんだ。 無駄に時間はかけてないさ。 あの場に居なかったのがアンタの敗因。」 キキョウは唇を噛む。 安心しきっていた。 エレベーター前にクモの巣をはってたから攻撃は受けないとタカをくくっていたが、まさかかなしばりとは……。 キキョウの頭の中に敗北の二文字が映る。 しかし、キキョウはそれを頭の隅においやり目を見開いた。 キキョウ「でも、まだ勝負はついてない! マタドガスのかなしばりが解ければ十分勝ち目はあるわ! マタドガス……!」 スネ夫「ちょっと待った。」 スネ夫がキキョウの行動を制する。 スネ夫「実は僕は君に最後の罠を仕掛けてるんだ。 上を見てごらん。」 キキョウ「!!!」 キキョウは反射的に上を向く。 すると、地面からバクフーンが飛び出し当て身をくわせた。 スネ夫「あ、間違えた。下だったよ。」 キキョウ「ひ………きょう……な……」 キキョウはそのままその場に崩れ落ちた。 スネ夫「じゃあね。」 スネ夫は服の汚れを払い、その場を後にした。 スネ夫がキキョウとの闘いを終える少し前、我等がドラえもんはラジオ塔目指し走っていた。 煙幕のせいで周りが全く見えない。 のび太がちゃんとついてきているのかも分からないし、コウが追ってきているのかどうかも分からない。 ドラえもん『確か、このまま真っ直ぐ進んでいけばラジオ塔に到着する。 まあ、方向が本当に合っているかどうかは分からないけど。』 ドラえもんは心の中不安を漏らす。 しかし、その不安は杞憂に終わる。 ドラえもんは煙幕を抜け、その眼前にはラジオ塔がそびえ立っていた。 雨はだんだん小降りになってきている。 煙幕を抜けたドラえもんはのび太を探すため、辺りを見回す。 しかしのび太の気配は全く無い。 ドラえもん『どうしたのかな……? 待つか……。』 ドラえもんは手頃な建物の陰に隠れ、のび太を待った。 しかし待てども、待てどものび太は来ない。 結局、15分近く経ってものび太はその姿を現す事は無かった。 そしてそののび太は、いまだ煙幕の中に取り残されたままだった。 いや、厳密には取り残されたという言い方は正確な表現ではない。 自分の意思で残ったのだから。 「解せませんね……。」 暗闇の中から声が聞こえる。 コウとかいう奴だろう。 コウ「一人残っているのは分かってます。 青狸か眼鏡かは分かりませんが。 片方が私の足止めをして片方がほぼ無人のラジオ塔を叩く、そういったところでしょうか。 やはり解せませんね……」 のび太の返事は無い。 しだいに煙幕も晴れてくる。 小雨の中、二人の姿が晒けだされた。 両者は会話も無く、睨み合う。 静寂を破ったのはコウだった。 コウ「殺す前に聞かせて下さい。 何故残ったのですか?」 のび太「お前にに話す義理は無い。」 のび太が答える。 更にのび太は訊く。 のび太「なんでそんなに余裕を見せられるの? 正直に言うと、アンタと僕の力はほぼ互角。 サシなら勝負はどっちに転ぶか分かんないんだよ?」 のび太が疑問をぶつける。 コイツは三週間前から自分の実力が変わってないと思ってるのだろうか。 ナメてるとしか思えない。 のび太の頭にそんな考えがよぎる。 するとコウが含み笑いを見せ、話し始めた。 コウ「確かに……。 私と君の間にさほど大きな差は無いでしょうね。 しかしそれは勝敗とは別の話……。 君は闘わずして負けている……。」 コウの言葉にのび太が首を傾げた瞬間だった。 コウが指をパチンと鳴らすと、周りの建物の中から続々とロケット団員達が現れた。 そして、それはズラリとのび太とコウの周りを取り囲んでゆく。 そしてのび太とコウを中心とした円が完成した。 コウは高らかに笑う。 コウ「ハハハハハハ! どうですか!?この50人にも及ぶ戦力の差は!? トシミツ様の命令に従わず隊をコガネ内に残しといてよかったよ!!!」 のび太「…………………。」 のび太は喋らない。コウが続ける。 彼は熱くなると敬語が消える。 コウ「ビビって声も出なくなったのかい!? まあ、落ち着きたまえ。 このまま君をブチのめす事も出来るんだがその前に一つ、人望についての話をしてあげようじゃないか。」 のび太『人望……?』 怪訝な顔をするのび太。何故突然そんなことを話すかは分からないがとりあえず聞いた方が良さそうだ。 コウ「人望はどのような物を持つ人が得るか分かるかい? 分からないだろ。 それを得るには三つの物を兼ね備える必要がある。 一つ目は知性! これは当然だね。 無能な上司、先輩は見下される。学校、会社、その他全てに言えること。 君だって頭の悪すぎる奴の下につくのは嫌だろ? 二つ目は性格とビジュアル。 どんなにいい奴でも不細工で最近の流行も知らない奴は社会から取り残される。 逆もまた然り。まあ例外も有るけどね。 そして三つ目は力。 頼もしく他を威圧し絶対的な力! 自分に反対する者を問答無用で潰せる力だ!」 のび太「ゴチャゴチャ無駄話の多い奴だな。」 のび太は皮肉を言った。 コウはそれを無視し話を続ける。その顔は恍惚としていた。 コウ「さっき言った三つの要素。 僕は既にさっきの内の二つを示した! 一つ目はあのトシミツ様も気付かなかった君達の侵入を読み団員達を残したという知性! そして二つ目は見ての通り僕のルックス!!!」 コウは銀の髪をかきあげる。 完全ならナルシストだ。 コウ「そして三つ目の「力」はこれから見せる事になる。 一対一で君を倒す事によりね。 悪いが君には僕が次の選挙で更に上に行くための踏み台になってもらう! 雨の中長い話を聞いてもらって悪かったね。 さあ、始めようか。」 コウがそう言い、身構えた瞬間だった。 周囲にいた部下の内の一人がやってきてそっと耳打をした。 耳打が下手な為、二人の会話が微かだが聞こえる。 コウ「……はい……ええ……正体不明?……何ですかそれは?……ちょっと出して……」 のび太『正体不明!?まさか………』 そのまさかだった。 団員達が次々と黒く平べったいポケモンを出してゆく。 その数は少なくはない。 のび太はそれに見覚えがあった。 アンノーンだ。 どのような経緯でバレたのかは分からなかったが、それは確かに今まで使ってきたアンノーンだった。 その体はぐったりとしている。どうやら既に瀕死であるようだ。 コウはそれを指で摘むようにして観察する。 コウ「これは……? 何処かの神話やおとぎ話で聞いた事がある……。 何故こんなに沢山ここに……? しかしなんだったっけ……?」 コウが必死に記憶の糸を辿っている。 するとのび太が突然叫びだした。 のび太「おい!アンノーン!!! おい!みんなやられちゃったのか!! 他にいるんなら返事してくれ!!!」 のび太の叫びが響くが全く返答は無い。 コウ「アンノーン……。そうだ幼少の頃、絵本にあったアンノーンだ!!」 コウは拳で掌を叩き、成程のポーズをする。 名前が分かった所でコウはボールを取り出し言った。 コウ「まあコイツらが何であろうとどうでもいいこと。 呼んでも来ないということは全滅したようだね。 まあ作戦は騙し打ちを食わせるといった所かな。 さあ、覚悟はいいかい?」 ボールからはエアームドとクロバットが飛び出す。 そしてコウはジリジリとのび太に歩み寄る。 しかしコウはのび太に近づくにつれ、あることに気づいた。 笑っている。 絶対絶命のこの状況で笑っている。 コウはのび太に言いようもない不気味さを感じ、後ろに飛び退く。 のび太が言った。 のび太「キシシシシシ……。そうか。あのアンノーン共は全滅したか……。 好都合、いやなんというラッキー! これで俺を監視する奴は居なくなった訳だな。」 のび太はニヤニヤ笑っている。 コウはその顔と少年のかもしだす異様な空気に心理的な圧迫を感じる。 余りの薄気味の悪さに、周りの団員も思わず後退りする。 コウ「な、なんだコイツは……? さっきとは全然違う……。」 コウの心臓は恐怖により凄まじいスピードでビートする。 のび太はまた話しだす。 のび太「いやいや、「本性」を出すのはマジで久しぶりだ……。 最近あの忌々しい黒文字野郎のせいで満足にノートも使えねえ。 ええと………?使うストックは20人位で足りるかな?」 のび太はダルい授業が終わった学生の様にけのびをする。 するとバッグをあさりだし、黒いノートを取り出すと何かを書き始めた。 コウと団員達はのび太の行動を呆気にとられて見ている。 辺りをまた静寂が包む。 響くのはシャーペンの音と小雨だけ。 しかしその静寂はコウによって破られる。 コウ「僕は何をビビっているんだ……? 勝てる相手じゃないか……。 エアームド、クロバット!二人でつばさでうつ!!」 コウは我に帰り、ポケモン達に攻撃命令を出す。 しかしそれは、追い詰められた鼠が猫に立ち向かう。そのような感じだった。 のび太「邪魔だな……。」 のび太は落ち着き払ってボールを投げる。 ボールからはゲンガーが飛び出した。 ゲンガーは二体の攻撃を喰らいダメージを受ける。 そしてゲンガーは吹き飛ばされた。 それを見て自信回復したのか顔がひきつりながらもコウは笑いだす。 コウ「………はは、ハハハハハハ! やっぱりビビることは無いじゃないか! 所詮ハッタリか!びっくりしたよ……」 のび太少し苦しそうな表情をした後、吹き飛ばされたゲンガーにチラリと目をやり言った。 のび太「痛えじゃねえか……。」 苦しがりながらのび太はパタンとノートを閉じる。 のび太の視線とコウの視線とがぶつかる。 コウは思わず目を反らした。 のび太「まあ待ちやがれ……。 後5秒程だ……。」 のび太はコウに掌を見せる。 その場が緊張で凍りつく。 のび太「4……。」 まず親指が曲がる。 のび太「3……。」 瓦礫からゲンガーが立ち上がる。 のび太「2……。」 余りの迫力に団員の一人が腰を抜かし地面に尻餅をつく。 のび太「1……。」 残りの指が人指し指だけになった。 カウントが0になった時どうなるのだろう? コウを含め全員が思った。 命を奪われる。そんな感じもした。 そしてカウントは0を迎える。 のび太「0………」 のび太の手が完全な拳になった瞬間だった。 側にいたゲンガーの体がドス黒い光に包まれた。 次へ
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前へ 荒筋 ドラえもん達はコガネのイベントをクリアするため、 各々の力を上げようと、別れ別れになった。 ジャイアンは、チョウジタウンのヤナギの元に、 氷の抜け道でとけないこおりを入手することを条件に弟子入り志願をする。 そこで、ブリザードに大苦戦の末、機知により逆転。 ヤナギに弟子入りを認めてもらった。 ドラえもん達が、エンジュから離ればなれになってから丁度一週間が過ぎた。 今までは、ジャイアンとスネ夫達の行動しか語っていなかった。 しかし、だからといって、その間のび太とドラえもんが 何もしていなかった訳ではない。 二人は、ちゃんとコガネでの決戦に使えそうなポケモンを集めていたし、 レベル上げもしっかり行っていた。 まあ、その修行や旅は、別に特筆すべきものではなかったので、 このように割愛した訳である。 しかし、修行最終日のこの日は話のスポットを彼らに向けてみたいと思う。 二人は修行最終日の今日は体を休めようということで、 ポケモンセンターで早めの宿を確保した。 ドラえもん「のび太君、よく今までの修行を堪えたね。 僕は嬉しいよ」 ドラえもんが言う。 のび太「うん! しずかちゃんを助けるためだからね!」 のび太『んなわけねぇだろwww』 ドラえもんはのび太の心内などつゆ知らぬ様子で、言った。 ドラえもん「じゃあ、今日は特別だ。 スイートに泊まろう。」 ドラえもんはそういい、受付にスイートルームのチェックインを始めた。 のび太「えっ、ドラエモン……、スイートってあのとんでもない高い所?」 のび太が驚く。 しかし、ドラえもんは明るい表情のまま答える。 ドラえもん「うん、今日くらいはゆっくりしなきゃ! あっ、個室二つで。」 のび太「えっ、なんで二つなの?」 またのび太が聞く。 ドラえもん「言ったでしょ。 今日くらいはゆっくりしなきゃって。 修行を堪えたご褒美だよ。 淋しいのなら大丈夫。隣だから。 じゃあ、明日に備えてゆっくりしよう。」 ドラえもんはそう言い、鍵を取った。 のび太「成程、じゃあゆっくりするかな。」 のび太もそう言い、二人は各々の部屋の前へ向かった。 ドラえもん「じゃあ、おやすみ。」 のび太「おやすみー」 二人は、その後、部屋に入り、扉をしめた。 ドラえもん『……やっぱり何か、おかしい。』 ドラえもんは部屋に入った後、ベッドの前の椅子に腰を降ろし、溜め息をつく。 ドラえもん『この一週間……やっぱり何か違和感を感じた……』 実はドラえもんは、イベントクリアの為にコガネへ向かう時から、 もしかしたら、自分らの中に時間犯罪者がいるのかも知れない という考えを抱いていた。 根拠はいくつかある。 例えば、時間犯罪者の殺人が自分達の周辺のみでしか起こっていないこと。 タンバのシジマ、後になって知ったが、アサギのミカンや、 灯台のトレーナーも何人か死んだらしい。 始めは、自分らを追跡しているが故だと思っていたが、 自分達をイベントクリアに利用するのならば、時間犯罪者が 自分らを追跡する利点が全くない。 すぐにでもフスベへ向かい、自分達がイベントクリアを遂げるのを待てばいい。 しかし、フスベに居る出木杉達はトレーナーが死ぬのなど 全く見たことが無いと言っている。 故に、時間犯罪者はフスベにはいない可能性が高い。 ならば、何故、利点の塊であるフスベ行きをせず、自分らを追跡しているのか。 答えは、恐らく、それが出来ないから。 何故できないのか。 考えられるのは、奴自身が身動きのとれない立場にいること。 そこでドラえもんの頭にあることが浮かんだ。 内部犯である。 しかし、自分達の誰かがそんな事をするとは考えにくい。 だが答えはすぐに頭の中に浮かんだ。 味方がどこかで、奴とすりかわってしまった可能性があることである。 それなら、全てのつじつまが合う。 ミカンには全員が会ったし、灯台も全員で通った。 更に、自分達の一行に潜めば、自分達について行かざるを得ない。 では、最も怪しいのは誰か。 のび太である。 本人によれば、所持バッジは0、会った時には、何故そこに来れる? と、首を捻るようなメンバーだった(ゲンガーを除いて)。 それに、死んだ、ミカンと最後に接触したのは彼だった。 かといって、確信や、証拠は無いし、皆の前で内部に犯人がいる 可能性があると、言った場合、結束が崩れる可能性がある。 それはなんとしても避けたかった。 そこで、皆に気付かれぬよう、のび太の監視をするために、 今回の解散を提案したのである。 ドラえもんやがて、腰を上げ呟いた。 ドラえもん「一週間………全く、証拠はつかめなかった。 のび太君が時間犯罪者であるのかも、ないのかも。 でも、何か、何て言うか分からないけど……。 仕方ない………これだけはしたくなかったけど………」 ドラえもんはそう言い、自らの腹のポケットをあさりだした。 のび太『やっぱり、アイツ、俺を疑っていやがった。』 のび太はスイートルームのおっきなカビゴンの上にのしかかりながら考えていた。 あの青狸と過ごした一週間、全く奴は自分に対し、 なんのアプローチも仕掛けて来なかった。 恐らく、この修行の旅も、自分を監察するためのものだろう。 それならば、この後に控えているイベントの為にも少なくとも奴は、 この旅で自分がクロかシロかの証拠を掴まねばならない。 だとしたら、恐らくこのスイートルームは青狸の罠。 大方、盗聴でもしているのだろう。 いや、下手したら監視もしているのかも知れない。 だとしたら、この中での言動は控えた方がよいだろう。 しかし、おとなしく時が過ぎるのを待つ訳にはいかない。 自分がこの旅の途中に考えた目的を達成せねばならない。 そう、それは奴の名前を知ること。 青狸は、皆からドラエモンと呼ばれている。 しかし、前タンバで奴の名前を書いたが死ななかった。 奴の正体は分かる。あのデザイン、腹の袋からして、約一世紀程前の猫型ロボット。 何故この時代に居て、耳が無く、メッキが剥げているのかは知らないが。 だがこのノートはこの世界ならロボットであっても、効果を発揮する。 だから、奴がロボットであるのは理由にならない。 やはり、名前が違うのか。 だが、奴がスイートに泊めてくれたお陰で、名前を知る方法が出来た。 しかし、奴の盗聴、監視、どちらか分からない限り、それは作戦のネックになる。 どうしたものか……? のび太は考えを巡らす。 一方、ドラえもんは部屋から蚊メラを外に放った。 スパイ衛生もあるが、室内は映しきれない。 かといって蚊メラを直接、のび太の部屋の中へ入れるのは無理だろう。 蚊メラは見た目は普通の蚊だし、恐らく即叩かれて終了だ。 しかも蚊メラは機械製だから、破壊されたら確実に監視していたことがバレる。 だから、蚊メラを外に待機させて、せめて、中の状況を聞くことが精一杯だった。 ドラえもん『頼むよ………蚊メラ……』 そう思い、ドラえもんは蚊メラを外に放した。 のび太「…………………」 のび太は一言も喋らず、部屋の中で思考を巡らせていた。 やはり、監視、もしくは盗聴されてることは、 これが最後のアプローチのチャンスということから考えて必死。 奴には、いつも「単独行動はやめてね」と口を酸っぱくして言われていた。 だから、部屋外への移動は監視、盗聴されているのなら不可能。 だから、手持ちポケモン、及び、部屋にあるもので奴が監視しているのか、 それとも盗聴のみなのかを確認しなければならない。 この一週間で俺のメンバーも大分変わった。 ブーバー、ラッタ、フーディン、ピジョン、そして、俺、ゲンガー。 ……………。 そうだ、こいつを利用して…………。 のび太はそう思い、モンスターボールから全てのポケモンを解放した。 ドラえもんは部屋で蚊メラの音を聞いていた。 ドラえもん「あれから音沙汰無いな……… どうしたのかな………?」 蚊メラからの連絡は全くない。 一度ポケモンを出した音がしたが、気にすることはないだろう。 すぐ戻していたし。 蚊メラの集音機能は二十二世紀仕様なのでかなり高い。 それが、一時間の間何の音も拾う事が出来ないのだ。 ドラえもん「まさか、僕の思い過ごし……………?」 ドラえもんにそのような考えが浮かんだ瞬間だった。 「ドガァァァァァァン!!!!」 突然、大きな爆発音がなり響いた。 次へ
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前へ 「ズズズーーーーーーン!!!!」 凄まじい爆発音が鳴り響き、ラジオ塔が崩壊してゆく。 その衝撃や惨状はコガネゲート前にいた人々や、今だクモの巣をかきわけているスネ夫にも容易に観測出来た。 ある人々は驚き、またある人は余りに衝撃的な光景に目を疑う。 しかし、ここに一人例外がいた。 しとしと降る雨にうたれながらも、その顔は狂喜で歪んでいる。 のび太「計画通り………。 そして、時間通り……正確だ。」 のび太は時計を見ながら微笑みを浮かべた。 「計画通り」「時間通り」「正確だ」 この三つは何を意味しているのだろう。 それはこれから順を追って説明せねばならない事になる。 と、いう訳で時間を少しばかり巻き戻してみよう。 時はドラえもんがラジオ塔に侵入した時、すなわち、コウがのび太に騙し討ちをしようとした時間まで遡る。 コウを追い詰めたのび太。 一方コウはのび太に不意打ちを食わせようと、クロバットとエアームドをのび太の背後に忍ばせていた。 雨のせいか、後ろの二匹に全く気づかないのび太は言う。 のび太「安心しろ。死ぬ運命は避けられないが、苦しくはない。 大人しくしてろよ……。」 コウ『言っとけ………。 あと2m………。』 鼻血を出し、地面に叩きつけられ惨めな姿になっても、コウは今だ最後の望みに全てを賭けている。 のび太に迫る二つの影。 まだ気づかれてはいない。 コウ「後少し……もう少し……。」 そして二匹は、完全にのび太への射程距離内に侵入することに成功した。 完璧に気配を殺し、エアームドがその鋭い刃の羽を振り上げる。 コウ『今だッ!!!殺せぇぇッ!!!』 鋼の翼がのび太の勁動脈に襲いかかる。 のび太「!!!!!」 人間の神経系を駆け巡るインパルスの中でも、最速のものは18m/sの速さを記録するらしい。 それが速いと思うか、遅いと思うかはここでは置いておこう。 ともかく、のび太への攻撃は通常、上で挙げた常人の反射の速さでは到底防げるものではなかった。 しかし、エアームドからの斬撃はのび太の首を少しかすめただけで、完璧にかわされたのである。 コウ「ば………バカな……タイミングは完璧だったのに……。 よ、避けられる訳が……。」 最後の策も尽き、コウはうめく様に言う。 のび太「ハア……ハア……ハア……。 野郎……死ぬとこだったじゃねえか……。」 のび太はそう言いながら自分の首筋を触る。 指には微かに血が滲んでいた。 のび太「血……。このオレが血を……。 ………このクソ鳥共がぁああああ!!!!」 のび太は逆上し、それに合わせるかの様に、ゲンガーがエアームドとクロバットにシャドーボールを雨霰の如く浴びせる。 二羽が完全に動かなくなった後もそれはしばらく続き、一分後、シャドーボールのPPが切れてやっとそれは中断される。 二体のその姿は、目もあてられない様なものになっていた。 それを見たのび太は、満足そうに指についた血をしゃぶり、荒い息を整え始める。 一通り感情も爆発し終えて、気分も落ち着いてきたようだ。 のび太「ふぅ……。危なかった。 雨で音は消えていたし、気配は完全に消されていた……。 下手したら、マジで死んでたかもしんねえ……。」 のび太は言い、またコウヘ一歩踏み出す。 その顔に不気味な笑みを浮かべながら。 コウ「ヒイイイイイ!!!! なっ、なっなっ、何故ぇぇッ!」 コウは怯えながらも騙し討ち失敗の原因を聞こうとする。 発狂寸前。口からはだらしなく涎が垂れている。 のび太「ん?何故俺がお前の不意打ちに気づいたか知りたいのか? いいだろ。教えてやる。」 のび太はコウの、言葉にならない言葉を汲み取り言った。 のび太「お前の体には俺の背後を映し出す物が一つだけあった。 そして俺はそれで偶然気づいた。それだけだ。」 コウ『じっ、自分の、かっ、体?そっ、そんなものは………。』 コウは半狂乱の頭で考える。 映し出す……。鏡……。光? まさか! コウは反射的にその部位を押さえた。 のび太「そう!!正解だ!お前の瞳にあの鳥が映っていたんだよ!」 のび太はそう言い、コウの頭を掴む。 のび太「これから言う質問に答えたら、無事に逃がしてやる。 お前の手持ちポケモンを全て言え。 ええと、なになに………。」 のび太はコウのポケモン達を黒い冊子のノートに書き込んでゆく。 一通り書き終えた所で次の質問に入った。 のび太「お前のコウという名前は本名(フルネーム)か?」 コウは無言で頷く。 のび太「そうか……。」 のび太は冊子に次々と何かを書き込んでゆく。 そして二分後。 「パタン!」 のび太は何かを書き終え、冊子を閉じて言った。 のび太「お疲れさん。 これは餞別だ。親が変わるから進化するかもな。 まあとにかく頑張れよ。」 のび太はコウにモンスターボールを渡し肩を叩く。 モンスターボールの中身は誰にも知らせていないアイツだ。 コウは突然の恐怖からの解放され、渡されたモンスターボールを手にポカーンとしている。 のび太「早く行けってんだよカスが!!!」 のび太はコウの尻に蹴りをかました。 その勢いで彼の体は一回転し、水溜まりに叩きつけられる。 コウ「うわあああああああ!!!」 水溜まりの水を撒き散らし、恐怖の叫びをあげながら、コウの姿は雨の中へと消えてしまった。 降り頻る雨の中、残されたのび太は一人呟く。 のび太「よし、これが上手くいけば、脱出にかなり有利になれる………。 デキスギとかいう奴らも出し抜けるぞ!」 のび太は再びノートを開き、そこに細部を書き込み始めた。 その内容は以下の通り。 名前【コウ】 死因【爆死】 手持ち【クロバット・エアームド・リザードン・オニドリル・ゴローニャ】 死の前の状況【コガネシティのラジオ塔に向かうが、途中で体の汚れが気になり、近くの無人の民家で体を洗い服を着替える。 その後再びラジオ塔へ向かい、首領を倒そうとするも他人から貰ったゴローニャが言うことを聞かず、200X年 X月X日 午後4時44分、自らのポケモンの爆発に巻き込まれ死亡】 のび太は満足そうな表情をし、ノートを閉じた。 のび太は自らの勝利を揺るぎない物と確信していた。 それからの展開は早かった。 ドラえもんとトシミツは通り抜けフープにより、間一髪爆死の危機を免れ「ドンブラ粉」を使い地面への衝撃も防ぐことが出来た。 その後、トシミツは破壊されたラジオ塔を見て、抵抗する事を断念。 数分後、ラジオ塔に駆け付けたコガネのトレーナー達に自ら身柄を引き渡した。 ドラえもん達もスネ夫、のび太、そして生存が確認されたジャイアンと合流することに成功し、ジャイアンの無事を一人を除いて心から喜んだ。 ちなみにその時、幹部のカホウ、キキョウは身柄が拘束され、後にラジオ塔の三階からコウの物と見られる爆死体が発見された。 コガネの住民はすぐにでも我が家に帰りたいという意思を示したが、雨の為の事故、大人数の移動による大混乱を引き起こす可能性があり、それは却下。 次の日から少しずつ移動することに取り決められた。 色々とあってあっけない幕切れの様だが、今回の事件は一応の解決を見る事になる。 しかしある人物達の戦いは、まだ終わってはいなかった。 ジャイアン「ブハァ!うめえ!」 ジャイアンはペットボトル一杯のサイコソーダを一気に飲み干す。 現在はラジオ塔の事件解決の宴の真っ只中。 家に帰れない住民達が、せっかくだからと良心で取り繕ってくれたのだ。 ジャイアンは山の様に積まれた料理を鬼の如く食い荒し、一方スネ夫は今回の事件でのエピソードを、色々と肉をつけて住民達に話し、いい気分に浸っていた。 ドラえもんに至ってはまさに「溺れる様に」、どら焼きを貪り続けている。 皆楽しそうだ。 しかし、全員がそうであった訳ではない。 「そいつ」の中では、まだ事件は終わってはいなかった。 アカネ「なんや、あんまり楽しそうやないなあ?」 アカネは「そいつ」に近づき、顔を覗き込む。 アカネは「そいつ」の席の隣に座った。 アカネ「なんか、まだ難しそうな顔してんなあ。 事件は終わったっちゅーのに。 まだなんかあるんか?のび太。」 アカネはのび太に訊く。 のび太はコップの飲み物で少し喉をうるわすと静かに言った。 のび太「例の物は……。例の物は用意したかい……?」 のび太に言われ、アカネはポンと手を叩く。 アカネ「ああ、アンタの言っとった「アレ」か。 一応用意しといたで。」 アカネは胸ポケットから小さなディスクを取り出す。 のび太「ありがとう。」 のび太はそれを受け取り、一礼した。 アカネ「でもなあ、アンタそれ、何に使うん?」 アカネは好奇心からか聞いてくる。 のび太はそれを軽く受け流した。 のび太「これから一番大切な事……さ。」 のび太はアカネに見えない角度で薄気味の悪い笑みを浮かべる。 ラジオ塔の爆破も、ディスクを手に入れた事も、ジャイアン達を始めその他のトレーナー達が自分の言うことを守ってくれたのも、全て自分の策通り。 あとは仕上げだけ。 いうなれば画竜点睛。 竜の絵に瞳を入れるのは自分! のび太はそう確信していた。 ドラえもん「ウップ、ウップ。食べ過ぎた……。」 すると、そこに腹に大量のどら焼きを抱えた奇妙生物が二人の目の前を通り過ぎようとした。 アカネ「ああ、ちょっとそこの青狸君、待ちいや。」 ドラえもん「僕は狸じゃない!」 アカネはドラえもんを呼び止めた。 アカネはドラえもんに言う。 アカネ「アンタ、誰か忘れたけど呼ばれよったで。 向こうのテントで待ってるやて。」 テント?ドラえもんは頭を捻る。 これから誰かを呼ぶつもりだが、誰かに呼ばれるような記憶は無い。 ドラえもんが必死に大きな頭を抱えていると、彼が探していた少年が視界に飛込んできた。 のび太はドラえもんに気づいてか気づかずか、しらんぷりをしている。 ドラえもんはそれに近づく。 のび太の計画では今日は何も起らないハズだった。 しかし耳元で囁かれたドラえもんの言葉は、のび太の計画そのものに危険をきたすものであった。 ドラえもん「僕の用事が終わったら、君と二人っきりで話がしたい。 場所は作戦会議用のテント。時間は20分後。 遅れないようにね。」 のび太『何ッ!?』 ドラえもんはそう言い、その場所を離れてゆく。 のび太「…………あいつ……。」 残されたのび太は、ただ呆然とその後姿を見送る事しかできなかった。 ―のび太がドラえもんとの約束終えた10分後― ガチャ。 例の部屋の中に一人の人影が立ち入る。 「キョロ、キョロ。」 その人影は辺りを見回すと、まだここには誰も居ない事を確認した。 のび太である。 ドラえもんに呼び出されたのび太は、これからの事態に対処すべく、約束の時間よりも少し早い時間にきていた。 のび太「さて……。これからどうするか……。」 のび太はノートを開き呟く。 のび太はドラえもんの名前を知っている。 殺ろうと思えばいつでも殺れる。 しかし、ここでヘタに殺す訳にはいかない。 奴は、多分仲間に「のび太は時間犯罪者だ」とまでは言っていないだろうが、「僕が不自然に死んだらのび太を疑え」というような「保険」をかけてる可能性がある。 ジャイアンとスネ夫はすぐに動き出すだろう。 そうなれば策を実行する時間が無くなる上に、デキスギ達との戦いが有利に進まなくなる。 だが、場合によっては殺す事も考えなければならない。 のび太は事前にその準備をするためにここに来たのである。 のび太は、シャープペンシルを取り出しノートにいそいそと何かを書き始めた。 記入内容は以下の通り 名前【トラえもん】 手持ち【ヌオー・キマワリ・デンリュウ・エイパム】 トラえもんは間違いではない。 非常事態に備えての策である。 必要な時、いつでも濁点を入れて名前を完成させる事が出来る。 ノートは切り取ってポケットの中に入れておけば話ながら自然に奴を殺せる。 のび太「よし……。 これで準備は整った……。後は奴がどのように攻めてくるか……」 のび太は呟き、ふと時計を見る。 時計の針はいつの間にか10分の時が過ぎた事を告げていた。 部屋にはカチカチと秒針が時を刻む音が支配し、他の音の存在を許さない。 しかし、すぐに静寂は破られる。 目の前のドアがギィと開き、そこから大きな青い球が顔を出した。 ドラえもん「待たせたね……。」 次へ
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前へ 一行はその後、エンジュと自然公園を抜けた。 ジャイアン「おい!ドラえもん! まだコガネには着かないのか!?」 スネ夫「ベッドで寝たいよ……ママァァン!!」 スネ夫とジャイアンが口々に文句を言う。 ドラえもん「今が35番道路だから……… うん。あと少しだよ。」 と、ドラえもんはたしなめた。 ジャイアン「全く…… ん?」 ジャイアンが何かに気付いた。 ドラえもん「どうしたの?ジャイアン。」 ドラえもんが訊いた。 ジャイアン「人が……人がたくさんいる……。」 ドラえもん「なんだって?」 ドラえもんは遠くを見つめた。 確かにコガネのゲートの前に何かいる。 とりあえずそれは、人間の様だった。 ドラえもん「誰だろう……?」 スネ夫「まさか、ロケット団!?」 スネ夫がそう言い身構えたがすぐにジャイアンに否定された。 ジャイアン「いや、あれはロケット団じゃねぇ。」 ジャイアンの言う通り、ゲートの前でたむろってる連中は、黒装束を身に纏っていない。 どうやらただの一般人のようだ。 ドラえもん「何故あんなところに?」 ドラえもんが疑問を抱いたが、即座にジャイアンにかき消された。 ジャイアン「考えても仕方ねぇ! ロケット団じゃねぇなら行ってみようぜ!」 スネ夫「待ってよ。 もしかしたら、奴らは一般人に化けた敵かもしれない。 もう少し様子を見た方が良いよ。」 スネ夫が意見したが、既にジャイアンは行ってしまっていて、この場に居なかった。 ドラえもん「全く……… 僕らも行くよ。」 スネ夫「危ないと思うんだけどなぁ。」 のび太「…………」 三人はジャイアンの後を追い、ゲート前の人だかりへ走り出した。 ジャイアンは他の三人よりいち早く、ゲート前に到着した。 怒り狂う人々もいれば、泣きわめいている子供もいる。 それにしても、人の人数が半端ではない。 ざっと、10万は超えているだろう。 ジャイアンは、近くにいた髭面のおじさんに事情を聞いてみた。 ジャイアン「なあ、おじさん。 なんでここに人がたくさんいるの?」 髭は、なんだ?こいつは?と、いった面持ちでジャイアンを見てきた。 おじさん「なんでって、追い出されたからさ。」 ジャイアン「誰に?」 ジャイアンは再び訊いた。 おじさん「ロケット団に決まってるじゃないか!!!」 ドラえもん「ロケット団!!!」 ジャイアンの後ろにはドラえもん、スネ夫、のび太の三人が居た。 スネ夫「と、言うことは、ここに居る人々は、町を追い出された人全員ですか!?」 髭面はゆっくりと、又、口を開いた。 おじさん「ああ、しかし、正確には半分だな。 南の方にもう半分の住民達がいる。 なんてったって、奴らはこの町を乗っ取ったんだからな」 ジャイアン「スゲェな。 リアルだとやっぱりこんなにスケールがでかくなるのか。」 おじさんの説明にジャイアンが感心した。 スネ夫「まあ、問題はどうやって奴らを潰すかだけどね。」 スネ夫の言葉を訊いた瞬間、明らかに髭の目が変わった。 まるでそれは、何か奇異なものを見るような目付きだった。 おじさん「何言ってるんだ! ジムリーダーのアカネちゃんでも無理だったんだぞ!」 ジャイアン「ダイジョブ、ダイジョブ。 俺ら強いんだぜ!」 ジャイアンが言った。 ドラえもん「とりあえず、行ってみる?」 おじさん「行くって何処へ!?」 おじさんは目を丸くした。 スネ夫「ロケット団を潰しにだよ。 じゃあね。おじさん。 よかったね。お家に帰れるよ。」 そう言い、四人は行ってしまった。 残された髭おじさんはただ、呆然としていた。 おじさん「大変だ………。 アカネちゃんに知らせなきゃ! 彼らは、黒の三人衆を知らないんだ…… このままでは彼らは殺されてしまう!!」 四人は、ゲートの前にやってきた。 ジャイアン「よし、行くか。」 そう言ってジャイアンが不用意にゲート内に入ろうとするのを必死で止めた。 ドラえもん「何やってんだ!! ゲートには見張りが居るに決まってるだろ! 見付かったら仲間呼ばれてワサワサ来るだろ!! これはゲームと違うんだぞ!」 ドラえもんが逆上する。 のび太『キシシシシ。 こいつらおもしれぇなあwww』 面白がる、のび太を脇目に、スネ夫がある提案をした。 スネ夫「そうだ! 奴らに化けていこうよ。」 ドラえもん「どうやって?」 ドラえもんは疑問に思った。 作戦としてはいいが肝心の服がない。 スネ夫「着せかえカメラを使うんだよ!」 ジャイアン「成程!」 三分後、スネ夫がロケット団の制服の絵を描き、四着の黒装束がカメラから出てきた。 その後、ロケット団の制服を着込んだ四人は、ゲートの前で侵入の最終確認をしていた。 ドラえもん「とりあえず、侵入できたら、僕らは偽者だという事がバレるような会話はしてはならない。 なんてったってここは、敵の本拠地。どこで話を聞かれてるか分からないけどね。 だから、侵入後の段取り、その他はここで話をしておく。」 他の三人は無言で頷く。 ドラえもん「今回の目標は、局長室へ向かい、地下の鍵を入手すること。 そのためにはなるべく、したっぱとの戦闘を避けなければならない。 何故なら一人と戦うと、あっと言う間に囲まれてしまうからね。 地下の鍵を入手したら……のび太君。」 のび太「ああん、……あっ、はい?」 のび太『あー、あぶねぇ、あぶねぇ。』 ドラえもんはのび太の行動を不審に思ったが、まあ、ぼーっとしていたのだろうと、解釈した。 ドラえもん「地下の鍵を入手したら、のび太君のフーディンのテレポートで、エンジュのポケモンセンターに逃げる。 ここまでが作戦の概要だけど、何か質問は?」 ドラえもんが訊いた。 すると、ジャイアンが突然意見をぶつけてきた。 ジャイアン「なんで、逃げるんだ? そのまま地下通路へ向かえばいいじゃねぇのか? もし、一度逃げてしまったら、今度はコガネへの再侵入が難しくなるんじゃねぇの?」 今回はジャイアンにしては、的を得た質問である。 しかしそれにもドラえもんは冷静に答えた。 ドラえもん「確かに、ジャイアンの言ってる事は合ってるけど、それだと、地下の鍵を入手した瞬間逃げ場のない、ラジオ塔の最上階で囲まれて、あぼーんだろ? リスクとメリットと、成功確率を考えた結果、これがベストだと思った。 鍵を手にしても全滅してしまっては意味がないしね。 他に質問は?」 すると、次はスネ夫が口を開いた。 スネ夫「最後だけど、地下の鍵を奪って逃げたのがバレたら、今度は地下通路に守りが固められないか?」 スネ夫の質問も的を得ている。 しかしまた、ドラえもんの策はさらにその上をいっていた。 ドラえもん「そうだね。 だから、これで、地下の鍵をコピーして何も奪われてないように見せかけるのさ。」 そう言い、ドラえもんはポケットからフエルミラーを取り出した。 スネ夫「………成程。」 スネ夫はドラえもんの策に感心した。 最後にドラえもんが訊いた。 ドラえもん「何か質問は? 作戦に異議は?」 一同「異議なーし!!」 全員が元気よく答えた。 ドラえもん「それでは作戦開始!!!」 四人はゲートの中へ入っていった。 四人がゲートの中に入ると、以外にもそこには誰も居なかった。 好都合な事であったが、この無防備さが逆に不気味さを感じさせた。 のび太『なんかあるなこりゃ。キシシシシ。』 四人は最初の打ち合わせ通り、一言も喋らず町へと侵入した。 町に入ると、そこには人っ子一人居なかった。 ドラえもん『妙だな……… まさか、誘ってるのか?』 ドラえもんがそう考えたとき、後ろで 「おいっ!何をしている!?」 という声がした。 ジャイアン『ヤバイ。見つかった!』 四人は自然と身構えた。話しかけられた以上、上手くかわさない限り戦闘は避けられない。四人は作戦の失敗も覚悟した。 しかし、団員の言うことは意外な事だった。 したっぱ「何ここでさぼってんだ! 早く会議へ行け!!」 ジャイアン「へ?」 カイギの意味が分からなかったが、団員の様子からすると、まだバレてないようだ。 ドラえもん「会議?」 ドラえもんが聞くと、突然団員は怒りだした。 したっぱ「貴様ら、話を聞いてたのか? 今日はラジオ塔の最上階で、トシミツ様達が、今後の計画について話してくださる重要な会議があるではないか!」 団員の剣幕に、スネ夫が少し動揺する。 スネ夫「あのぉその………」 スネ夫の様子を見ると、したっぱは一転してやれやれといった顔付きになった。 したっぱ「話を全く聞いてなかったんだったな。 まさか合言葉も聞いてなかったんじゃないのか?」 スネ夫『合言葉……?………チャンスだ!!』 団員の言葉にスネ夫は合言葉を聞き出すチャンスだと感じた。 スネ夫「……すみませ~ん。合言葉、忘れたんですぅ。」 それを聞き団員は呆れた表情になった。 したっぱ「ホンット呆れるなあ。 まあ良かった。あのまま行ってたら、しょっぴかれるとこだったしな。 合言葉は「サカキ様万歳」だ。 ホンット求人難とはいえ、こんなに団員の質が下がるとは…… もう少し考えて雇って……ブツブツ……」 そう言うと団員はいってしまった。 ジャイアン『ロケット団って大変なんだな………』 ジャイアンはしみじみそう思った。 のび太『やっぱりこいつらアホだな。キシシシシ。』 とにかく合言葉を手に入れる事が出来てよかった。 もし、このままラジオ塔へ向かえば確実に一網打尽にされてただろう。 ドラえもん『よし、ラジオ塔へ向かうぞ。』 四人は、ラジオ塔へ向かった。 入り口で見張っているしたっぱに合言葉を聞かれるのかと思ったが、ただ怒られただけだった。その結果、容易にラジオ塔へ侵入することができた。 ドラえもん『調子狂うなあ。』 まさか、最悪の事態を考えに考え対策を立てたドラえもんは肩すかしを食らった形になった。ここまでロケット団が間抜けとは思ってなかったのだ。 しかし、ラジオ塔内部には団員で溢れていた。 ジャイアンはその数に驚いた。 階を増す毎にその数は増えていく。 ジャイアン「あぶなかったな。無計画にいったらソッコー囲まれてアウトだったな……。」 ジャイアンがそう思ったとき、 「きゃあ!やめて!」 と、誰かが助けを求める声が聞こえた。 声の方を見てみると、メガネを掛けた娘が必死にロケット団員に懇願している。 クルミ「やめて!! こんなことをして楽しいんですか? 何がしたいんですか!?」 したっぱB「うるさい!!!!」 したっぱはそう言い、クルミの頬をはたいた。 ジャイアン「あんのやろう………!」 俺はジャイアン、ガキ大将。 ここで助けなきゃ男がすたる。 ジャイアンは腕捲りをし、戦闘体制に入った。しかし直前でドラえもんの言葉を思い出した。 『目の前で何が起ころうと我慢するんだ。 下手に動いても、誰も救えはしない。』 俺はジャイアンガキ大将。 しかしガキじゃない。 ここは大人の心で自省した。しかし、 ジャイアン『ロケット団………絶対ブッ潰してやる!』 ジャイアンの中で確かな闘志が産まれた。 その後、腹が立つことは色々あったが、一行は一度も戦闘することもなく、最上階へついた。 そこには空間の中に所狭しと、黒装束でぎっしりとしている。 とりあえず、四人はその中に溶けこんだ。 すると、前方に四人の人影が現れた。 すると、真ん中の少し白髪混じりの男が、話を始めた。 白髪「諸君。ごきげんよう。私が、ロケット団仮総師のトシミツだ。」 ジャイアン『あのオッサンが………』 ジャイアンはそう思った。声は低いが、人相はそこまで極悪な感じを得られない。 トシミツ「今回ラジオ塔をのっとったのは他でもない。理由は二つ。 一つ目はサカキ様の帰還。 もう一つは、このラジオ塔から怪電波を流し、全国のポケモンを意のままに操ることだ!!!」 なんだ、おもいっきりゲーム通りじゃないか、スネ夫はそう思った。 のび太『果たしてテメェらみたいな間抜けな組織にそんなことが出来るかな? キシシシシ。』 二人の反応はこんなものだったが、ただ一人この男は違った。 ジャイアン『チクショウ……… そんなこと、させてたまるか!』 彼はゲームの台詞は余りよく読んでないようだ。 各々の思惑とは別に、トシミツの話は進んだ。 トシミツ「三週間!!! 怪電波が完成し、各地のポケモンを意のままに操る時までに必要とする時間だ。 諸君には、その間、此所、コガネで籠城戦をしてもらいたい。」 ドラえもん『成程……、ラジオ塔だけでなく町ごとのっとったのは、コガネデパートを押さえ、籠城戦に必要な物資を確保するためか。 幹部の方はよく考えてるな………』 ドラえもんはそう思った。 トシミツ「三週間!! それを耐えれば我等の勝ちだ! この計画の浮沈は君達の士気にかかっている!!」 「オオオーーー!!!」 全員が勝どきをあげた。 トシミツ「諸君、ありがとう。 次は少し、コウ君から話があるようだ。聞いてくれたまえ。」 そう言い、トシミツは、隣の背の高い銀髪の男にマイクを渡した。 すると、男はゴホンと咳払いをした後、こう言った。 コウ「サカキ様万歳………」 ドラえもん『サカキ様万歳………? あれは確か……』 ドラえもんがそう思う前にコウと呼ばれた男が合言葉を言うと、今までうじゃうじゃしていた黒装束達が一斉にその場に座りこんだ。 その中で立っていたのは唯四人。 ドラえもん、ジャイアン、スネ夫、のび太だった。 コウ「おやおや、まさかと思って号令をかけたら、ネズミが四匹も忍び込んでいるとは。」 コウが笑う。 ドラえもん『やられた………。 この方法ならいちいち一人ずつ合言葉を聞かなくても、大勢の中から敵を探ることができる。 数の弱点を克服する良い手だ。』 ドラえもん達は身構えた。もはや、戦闘は避けられない。 コウ「さあ、どうやって料理しましょうか……」 ドラえもん達に緊張が走る。 そのときコウの横に居た、背は高くないが体格のいい男が言った。 「おい、こいつらは俺に殺らせろよ。」 コウ「カホウさん……。見つけたのは私でしょう?」 コウが男に反論する。 二人の間に、ピリピリとした空気が流れる。 すると、その間に、誰かが割って入った。 それはまだ、18にも満たないであろう若い女だった。 女「さっきね、コウさん町で暴れたからここは先輩の顔を推して、カホウさんに譲ってもいいんじゃない?」 二人はそう言われ、身構えるのをやめた。 コウ「………わかりましたよ、キキョウさん。 ここはカホウさんに譲りましょう。」 カホウ「ヘッヘッへ、そう来なくちゃ。」 そう言うとカホウはゆっくりとのび太達の方へ歩いてきた。 のび太『ちっ、俺の勘が言ってる、コイツはヤベェ。』 のび太がそう思った時、ドラえもんが小声でのび太に囁いた。 ドラえもん「これはかなりヤバい状況だ……。 のび太君、僕が今からモココのフラッシュで奴らの目をくらませる。 目がくらまないよう、目を瞑ってくれ。 これで奴らにスキができる筈だから、ジャイアンとスネ夫を連れてテレポートで逃げよう。 ジャイアンとスネ夫ちょっと遠くてこの作戦は伝えられない。 彼らも目がくらむだろうからフォローしてやってくれ。」 そう、のび太は言われた。 のび太は無言で頷いた。 カホウがゆっくり歩いてくる。その先のロケット団員は皆、さける様によけていく。 のび太達とカホウの間に大海が裂けたような道ができた。 カホウ「一瞬で掃除してやるぜ。 行けっ、スターミー。」 カホウがスターミーを繰り出した。 その瞬間、 ドラえもん「行けっ、モココ!フラッシュだ!!」 ドラえもんもモココを繰り出した。 カホウ「ふん!遅い!! スターミー、なみのり!!」 そのとき、スターミーから強烈な水流が発生し、水はのび太達全員を呑み込んだ。 のび太「アゴボババ」 ジャイアン『くっ、苦しい!』 ジャイアン達がそう思ったとき、 「パリーン」 ラジオ塔の窓が破れ、中から水が滝の様に流れる。 もちろんその中ののび太達も、窓から投げ出された形になった。 スネ夫「しっ、死ぬ!」 確かに冗談ではなく死んでしまう。 しかしそのとき、 ジャイアン「がぼばびぶ、ばいりびー、ぶろらいぶ、ぼべばびぼぶべぼべぼ(オーダイル、ストライク、カイリキー、俺達を水流から助け出せ!)」 ジャイアンはボールを水流外へ出した。 カイリキーは、のび太を受け止めオーダイルは水の中からジャイアンを救いだし、ストライクは俊敏な動きでドラえもんとスネ夫を救出した。 ドラえもん「がはあ、はあはあ、ありがとう。ジャイアン」 ドラえもんがそう言った瞬間上から声が聞こえた。 カホウ「油断するのはまだ早いぜ……」 その声がしたほうからみると、上空から、カホウとスターミーが凄まじい勢いと水流と共にラジオ塔から滑走してくる。 あの水流に巻き込まれたらひとたまりもない。 ドラえもん「みんな!逃げろ!!!」 ドラえもんが言うが早いか、全員は水流の落下ポイントから離れた。 「グアシャーーン!!!」 地面に水が叩きつけられる。逃げ遅れた、ジャイアンのポケモンと、ドラえもんのモココは一撃で全滅してしまった。 さらに、水の余波を受け全員は建物の壁に叩きつけられた。 スネ夫「うぐぐぐぐ………。 あいつ異常だ……」 ドラえもん『逃げなきゃ……… のび太君は…………』 のび太は今一行から離れたところにいた。 ドラえもん『クッ、これじゃあテレポートで逃げられない!』 もう、ドラえもん達に残された道は戦うことしかなかった。 スネ夫「行けっ!マグマラシ、スリーパー、オオタチ!!」 スネ夫は手持ち全てを繰り出した。 ドラえもん「こっちも、ビリリダマ、ヌオー、エイパム!」 のび太「ポッポ、フーディン、ゲンガー」 のび太(ゲンガー)『やっぱり、おれが直々に戦わなくちゃなのか………』 カホウ「ほう、これだけ差を見せても立ち向かってくるか。 面白くねぇな。 30秒。30秒でカタをつけてやる!」 そう言い、カホウとスターミーがまた高い波を作り出した。 「ぐぐぐぐぐ……」 勝負は一瞬だった。 カホウのスターミーのなみのりはその場にあった全てを呑み込みつくし、一瞬で全てのポケモンが戦闘不能にしただけではなく、トレーナー本人達にも、立ち上がる事さえ不可能のダメージを与えた。 カホウ「つまらなかったな。 まあ、楽に殺してやるとは言わん。 最も苦しい殺り方、つまり溺死で殺してやる。 ギャッハッハ」カホウは狂ったように笑った。 のび太『チクショウ………俺がこんなとこで……』 そう思ったとき、のび太の目の前が真っ白になった。 スネ夫「な、なんだ………」 スネ夫の目の前も真っ白になっている。 ジャイアン、ドラえもん、それにカホウも例外ではなかった。 カホウ「くそっ、何だ!?」 ドラえもん「フラッシュ? 一体、誰が……?」 ドラえもんがそう考える暇もなく、誰かがドラえもんの手を引いた。 のび太はその状況が全く呑み込めず、ただ目がくらみ、呆然としていた。 すると、何かが自分に向かってくる、そんな気配を感じた。 のび太「誰だ……?」 のび太が訊いたが、向こうはのび太の問いに答える代わりに別の事を訊いてきた。 ?「アンタのフーディンテレポート使えるか?」 のび太「へ?」 ?「使えるんかと訊いとるんや! 使えるんやったらはよせい!!」 のび太『何だ?こいつは………』 のび太は疑問に思ったが、うっすら目の前には、青いボディが見える。 遠くにいる筈の、青狸だ。 ジャイアンとスネ夫らしき物も形だけうっすら見ることができた。 のび太『コイツが誰かは分からないが、青狸どもを連れてきてくれてることから、敵ではなさそうだ。それに……』 この最悪の状況。この助けを受けない手はない。 逃げることができれば、名前と一匹だけだがポケモンが分かっているのでカホウとかいう奴を殺せる可能性もある。 ?「はよう、ウチの手をつかめや!!」 のび太は無言で目の前の、手らしきものを掴んだ。 カホウ「待てよ、貴様ら!!!! スターミー!なみのりだ!」 カホウの視力が回復したらしい。 水が迫ってくる音がする。 のび太「テレポート!!!」 のび太がそう叫ぶと、のび太達はその場から消え、なみのりを回避した。 テレポートによって、その場から離脱したのび太達はエンジュのポケモンセンターの前にいた。 ドラえもん「助かった………」 ドラえもんは一息ついた。 ?「あんたら感謝しいや。 ウチが助けに来んかったら、今頃全滅やで。」 全員がとっさに声のしたほうを振り向いた。 スネ夫「あっ! あんたは……!」 ドラえもん「コガネジムジムリーダー、アカネ!!!」 驚いている全員をよそに、アカネは話を続ける。 アカネ「そこのメガネ以外はどっかで見たような顔やな。 ジムにきたやろ。」 のび太を除く全員が黙って頷く。 アカネ「あんな、ジムに挑戦できるようなトレーナーつって、よう、しゃしゃらん方がええで。命を無駄にしたらあかん。 ここはウチらに任しとき。」 アカネが言った。 助けて貰ったとはいえ明らかに自分を見下しているような発言にジャイアンが憤慨した。 ジャイアン「言っとくけどな!俺ら(のび太以外)はお前に勝ったんだぞ! そんな偉そうな口をきいてもらいたくねえ!」 と、ジャイアンが言った。 ドラえもん「ジャイアン……… 言い過ぎだよ……」 そう言われたアカネはやれやれといった様子でため息をついた。 アカネ「アンタ、何も判っとらんようやね。 ほなポケセンで回復してき。 ちょいと相手になるで。」 ジャイアン「望むところだ!!!!!」 一方、コガネではのび太達に逃げられたカホウがいた。 カホウ「ちくしょーう!!!畜生!!畜生!!」 カホウは激仰した。 コウ「獲物を譲ったと思ったら何です? カホウさん。このザマは。」 ラジオ塔上空からエアームドに乗り、長身の男が降りてきた。 カホウ「コウ……… 俺は今、イライラしてるんだ……。 殺すぞ」 カホウは静かに、しかし凄まじい剣幕でコウを見た。 コウ「イライラしている? それは私の方ですよ。 私なら逃がさず一網打尽にできたのに、どっかの馬鹿に譲ったせいで逃げられてしまったんですよ? 馬鹿も休み休みして欲しいですねぇ。」 カホウ「なんだと…………?」 二人の間にまた緊迫した空気が流れる。 今にも殺しあいが始まりそうだった。 しかし、 キキョウ「はーい。終了、終了。 トシミツ様の御前だよ。 そんなことしていいの?」 ラジオ塔から、若い女と、白髪混じりの男が出てきた。 カホウ「ふん。運が良かったなカスが」 コウ「単細胞の相手は疲れますね……」 二人は皮肉を言い合い、間を離れた。 トシミツ「まあ、コウ君が侵入者を見つけたのは功績。 カホウは逃げられたとはいえ侵入者を撃退したのは事実。 評価に値する。 しかし!」 トシミツが声を荒げた。 凄まじい威圧感が回りにのしかかる。 トシミツ「これからの籠城戦、結束が崩れるのは不利だ。 優先すべきはロケット団……これを忘れるな。」 カホウ、コウ「はい。」 やはり、この人はヤバい。 二人はそう思った。 また、一方エンジュでは、全員がポケモンの回復を終え、ジャイアン×アカネ戦争が勃発していた。 ジャイアン「ポケモンの数くらいは決めさせてやるぜ!!」 スネ夫が訊いた アカネ「ポケモンの数? 笑わせんなや。 奴らとのバトルは言わば喧嘩や。ルール無用や。 まあ、今回は「参った」というたら負けっちゅーことで。」 アカネが言った。 俺はジャイアン、ガキ大将。 売られた喧嘩は買わねばならぬ。それが女であってもだ。 ドラえもん「ジャイアン、やめたほうが………」 スネ夫「行けっ、ストライク!!!」 ドラえもんが言うか早いか、ジャイアンはをストライク繰り出した。 アカネ「ほー。ストライクか。前より強うなっとるようやな。 ほな、いくで。」 アカネは身構えた。 スネ夫「なに? あいつ。 ポケモン出さないよ。やる気あんの?」 スネ夫が不思議がった。 アカネ「ええよ。ガキの戦いに本気出すまでもないんやから。」 アカネはすましている。 スネ夫「ジャイアン、あんなこと言ってるよ! やっつけちゃえ!」 ジャイアン「どうなっても知らないからな! ストライク!でんこうせっか!」 ストライクがアカネを襲う。しかし、 アカネ「ミルタンク!! まもるや!!」 アカネはとっさにミルタンクを繰り出し、まもるを命じた。 ストライクの攻撃が無効化される。 ジャイアン「くそっ! きりさくだ!」 アカネ「遅い!!ミルタンク、ころがるや!」 ストライクが切りかかるが、圧倒的なミルタンクの回転力にそのカマは弾かれ、そのまま潰されてしまった。 ジャイアン「ああっ! ストライク戻れ!! くそっ!カイリキー目にもの見せてやれ!」 アカネ「やから動作が緩慢なんや!!」 ジャイアンがカイリキーのボールに手をかけた瞬間、転がっていたミルタンクがジャイアンに激突した。 ジャイアン「ぶごっ!」 ドラえもん「なんてことするんだ!!」 ドラえもんが言ったが、すぐにアカネに言い返された。 アカネ「最初に言うたやろ。 これは対ロケット団を想定しとるんや。 当然トレーナーへの、直接攻撃もある筈や。」 のび太『キシシシシ。良いこと言うじゃねえか。』 しかしミルタンクに撥ねられ、もう立てないかのように見えたジャイアンは立ち上がり、怒りを爆発させた。 ジャイアン「女とはいえ、もう許せねえ! 行けっ!カイリキー!」 ジャイアンはカイリキーを繰り出した。 ジャイアンは考えた。 ジャイアン『恐らく、奴はまた、俺がスキを見せたとき、ころがるで直接攻撃してくるだろう。 だから、ここはパワーに優れたカイリキーでダメージ覚悟でミルタンクを受け止め、回転を止める。 そうしたら状況はタイプの関係で俺が有利になる。よし。それでいこう。』 ジャイアンにしては中々のアイデアだった。 アカネ「ぼーっとすんなや! 行け、ミルタンク!!」 ジャイアン「カイリキー、受け止めろ!!!」 ジャイアンがそう言った瞬間、アカネは読んでいた、とばかりに次の指示を出した。 アカネ「ミルタンク! やっぱ、当たらんでええ! 回転数を落とさず、周りをころがり続けるんや!!」 その瞬間、ミルタンクは方向転換し、ジャイアンとカイリキーの周りを回り始めた。 砂ボコりがまきおこる。 その、砂ボコりは、ジャイアンの視界を奪った。 ジャイアン『くそっ! 何も見えねえ!! しかたねぇ、カイリキー、俺を守れ!!!』 パワーで勝るカイリキーに守られていては、手が出せない。 ミルタンクのころがるが終わり、砂ボコりが晴れてきた。 ジャイアン「今だ!! カイリキー!!クロスチョップ!!!」 ジャイアンがここぞとばかりに放ったクロスチョップがミルタンクの急所に当たり、一撃でミルタンクを沈めた。 ミルタンクが倒れた今、アカネを守るポケモンはいない。 ジャイアン「カイリキー、あの姉ちゃんをギャフンと言わせろ!! 殺すなよ!!!」 カイリキーの手刀がアカネの首筋に当たった。 アカネは地面に倒れこんだ。 ジャイアン「ちょっとやりすぎちゃったかな? 姉ちゃん、大丈夫か?」 ジャイアンがアカネに歩み寄ろうとした瞬間、後ろから声がした。 アカネ「プリン!! あのガキにかなしばりや!」 ジャイアンの体は動かなくなった。 ジャイアン「な………んで………」 アカネ「簡単や。 前を見てみい。」 ジャイアンの首が強制的に前に向けられた。 カイリキーの手刀で倒した筈のアカネが、どろどろに溶け始めた。 ジャイアン「あれはまさか………」 アカネ「せや。あれはメタモン。 通常かなしばりはかなり命中率の低い技や。 それを決めるために、アンタに隙を作った訳や。」 アカネは気絶したメタモンを回収し、ジャイアンに歩み寄る。 アカネ「さあ、もうアンタの負けや。 参ったは?」 アカネは馬鹿にするように言った。しかし、ジャイアンはそう簡単に降参するような男ではなかった。 ジャイアン「そんなの……するはずねえじゃねえかよ……」 ジャイアンは言った。 アカネ「そうか、残念やな……」 アカネは肩をすくめた。 アカネ「生意気なガキにはお仕置きが必要やな。」 アカネはそう言い、ジャイアンに向かってボール投げた。 ジャイアン「むぎゅ!!!」 アカネのボールからカビゴンが飛び出し、ジャイアンの上にのしかかった。 ドラえもん「ジャイアン!!! アカネさん!!やりすぎだ!!」 ドラえもんが言った。 しかしアカネに悪びれた様子は全くない。 アカネ「それもそうやな。 戻り。カビゴン」 アカネはカビゴンを回収した。 スネ夫「ジャイアン!!!」 スネ夫がジャイアンにかけ寄ったが、ジャイアンは既に気絶している様だった。 アカネ「つまらんバトルやったな。 分かったやろ、これでアンタらの実力が。 文句あるならかかってきてもええで。」 アカネが言った。 現在、最も戦闘力の高いジャイアンが、眼前であっさりやられたのだ。 残りの三人は動けるはずもなかった。 アカネ「根性が無いとは言わん。 それが正しい選択や。 まあ、コガネの方はウチらにまかせえ。」 アカネはそう言うと、その場から去ろうとした。 ドラえもん「待ってよ。 僕らも、ロケット団を倒したいんだ。 協力させてくれ。」 ドラえもんが言った。 しかし、アカネの返答は冷たかった。 アカネ「答えはNOやな。 正直言おか。アンタらは戦力外、足手まといや。 それでもこの件に首つっこみたかったら、ウチを倒してからにせえや。」 アカネはそう言うと、去っていった。 ジャイアン「チクショウ………」 ジャイアンの目に涙が溢れる。 女にしてやられ、あれ程コケにされたのだ。 悔しくない筈がない。 ジャイアン「追い掛けて再戦してやる!!!」 ジャイアンがアカネを追おうとしたとき、ドラえもんが止めた。 ドラえもん「待って! ジャイアン!! 今、君が行っても、アカネさんには勝てない。 いや、もし、今の実力で下手にアカネさんに勝ち、戦線に参加したとしてもあの、カホウっていう奴に勝てると思うのかい!?」 そう言われ、ジャイアンは口をつぐんだ。 スネ夫「アイツ……………半端じゃなかった………」 それを聞いたスネ夫が身を震わせる。 他の一同もそれを思い出し、沈黙が流れた。 数十秒後、ドラえもんが口を開き、静寂を破った。 ドラえもん「…………強くなろう。 アカネさんが言ってたじゃないか! 強くなったら相手をするって!! 負けたのは誰のせいでもない!! 僕らが弱かったからなんだ!!!」 全員は、ドラえもんの言葉に聞きいっている。 全員の反応を見るように周りを見回した後、ドラえもんは続けた。 ドラえもん「そして僕は考えたんだ。 強くなるために何をしたらいいか。 一つ目は、当然ながら、ポケモンの強化。 これは、絶対必要条件。 先程のバトルでは、完全にレベルで負けてたからね。 もう一つは………」 そこでドラえもんは声を高くした。 ドラえもん「新しいポケモンの捕獲………!!!」 ドラえもんの言葉にスネ夫が納得する。 スネ夫「確かに、新しいポケモンの捕獲はいいかもね。 戦いにバリエーションが増えるし、トレーナー戦と違って、奴らとの戦いはルール無用だから、ポケモンは居れば居るほど有利だしね。 アカネさんが言ってたけど。」 ジャイアン「俺も賛成だな。 あの、水野郎と姉ちゃんをギャフンと言わせてやるぜ!」 ジャイアンが拳に力をいれる。 ドラえもん「そこで、僕らの目標は、具体的に言うと平均レベルを15上げる事と、新しい戦力を最低でも、二体は作るということ!!!!」 ドラえもんは言った。 スネ夫「15は正直キツイな………」 ジャイアン「15でいいのか?」 のび太『俺は15じゃ足りねぇな、多分』 各々の思惑が交錯するなか、ドラえもんが信じられないことを言った。 ドラえもん「ちょっと、言いにくいんだけどね……… その目標を達成するために、僕らは一度、それぞれ別れた方がいいと思う」 突然ドラえもんの口から飛び出した仰天発言に、一同は驚いた。 スネ夫「正気かい!? 僕らの本当の敵を忘れていないだろうね!?」 スネ夫が言った。 以前、離ればなれになるのは危険だと言ったのは、自分じゃないか。 スネ夫はそんな疑問を持った。 ドラえもん「ああ、忘れてないよ。 時間犯罪者さ。」 ドラえもんは、答えた。 スネ夫「だったらなんで!?」 スネ夫が必死で問いつめるのを、遮るようにドラえもんは言った。 ドラえもん「確かに、危険だと言ったよ。 しかし、今は状況が違う。 奴は僕らを殺せないよ。 このイベントをクリアさせる為にね。」 しかし、スネ夫が反論する。 スネ夫「そんな、クリアさせる為って…… 僕らが殺されない保証には全くならない!!」 スネ夫は必死だ。 無理もない。この青狸は殺される確率が最も高い選択をしようとしているのだ。 しかし、当の青狸は続ける。 ドラえもん「そんなことは、百も承知だ。 でもね、そうしなきゃロケット団を倒し、前に進めない。」 ドラえもんは淡々と進める。 スネ夫「でも!!!!!!」 スネ夫はまだ、納得がいかない様子だ。 ドラえもん「こんな状況になってしまったら、多かれ少なかれ命を賭けなければ、先には進めない。 しかし今は、奴は僕らにイベントをさせる為に殺さない可能性が高い。 だから、今が個々が各地を回り、多様な戦力を手に入れる最後のチャンスなんだ!!!!」スネ夫「そんなこと………」 スネ夫はやはり尻込みしていた。しかし、 ジャイアン「俺はやるぜ。」 ここで、ジャイアンが小さく答えた。 スネ夫「正気かい!?ジャイアン!!」 スネ夫がすぐさま言う。 ジャイアン「ああ。 俺には、なになにだから殺せない、とか難しいことは、全く分からねえ。 だけどな………」 ジャイアンはドラえもんの頭に手を置いた。 ジャイアン「俺は、コイツが言うから正しいと思うんだ。 ドラえもん……… 俺はお前に従うぜ。」 ドラえもん「ジャイアン………」 ドラえもんの目が何かで霞む。 スネ夫「…………。分かったよ。 でも、これでなにかあったらドラえもんのせいだからね!」 のび太「僕もいいよ。 奴らを倒 そして、翌日。 四人は、ポケモンセンターの中で一夜を明かし、ポケモンセンターの前に集合していた。 ドラえもん「お互いに連絡は定期的にとり合おう。 期日は二週間と言いたいとこだけど、奴らは計画完成まで三週間と言っていた。 だから、皆、一週間以内で条件を整えて欲しい。」 ドラえもんが言う。 ジャイアン「おう! まかされよ!!」 スネ夫「じゃあ、僕はこれで………」 スネ夫はそう言い、去り、やがて、ジャイアンも去っていった。 二人は明るい希望を持ち、去っていったが、唯一人、全く違う面持ちの人間がいた。 のび太は考えていた。 こいつら、マジで別れやがったww 臭い友情でも見せやがって。 確かに、イベントクリアの為に、こいつらは全滅はさせられない。 全滅は、だ。 イベントクリアさえしてしまえば、こいつらは邪魔なだけ。 何人か駒が残れば、いい。ただ、それだけ。 あのスネオとかいう奴でも殺してやる。 そして、こいつらの、虫酢のはしる、信頼とやらをぶち壊してから、殺してやる。 青狸。 テメエは俺を野放しにするという、最もしてはならない事をしたんだ! キシシシシ。 のび太はこの世の物とは思えない程の邪悪な顔をした。 さて、そろそろ行くか。 のび太は、 のび太「じゃあね、ドラエモン。」 と言い、その場を去ろうとした。 しかし、ドラえもんからはのび太の予想外の言葉が帰ってきた。 ドラえもん「のび太君……… 僕らは一緒に行動しよう。」 のび太『何っ?』 のび太は予想外の言葉に驚いた。 しかし、折角のチャンス。 動揺して簡単に無にしてしまう訳にはいかなかった。 のび太「何故だい? 僕一人じゃ不安かい?」 計画の為になんとか、この青狸を払い除ければならない。 しかし、その青狸はまたも食い付いてくる。 ドラえもん「うん。不安さ。 だから付いていかせて貰うよ。」 のび太『くっ、こいつ、何故だか知らないが、完全に俺の事を疑っている。』 のび太は、次の手を打つため、何かを言おうした瞬間、先にドラえもんの口が動いた。 ドラえもん「いや、不安と言っても、君がじゃない。 僕の方がさ。僕のポケモンは全体的にレベルが低いからね。 君に守って貰おうと思って。」 何気なく思えたドラえもんの一言が重くのび太にのしかかる。 のび太『チッ、こいつ………巧い。 これで俺が奴から自立することを理由に離れる口実を使うことが出来なくなった。 もし、このまま保護を求めてすり寄ってくる奴を不自然に拒絶すれば、完全に黒にされる確率が高くなる。 もし、疑ってる訳でなく、マジで言ってる場合、無理に追い払おうとすれば確実に、奴との仲が不仲になる。それに…………』 まだ、ここで明かす事は出来ないが、のび太の策は、まだしばらくドラえもん達の仲間であり続ける事が絶対必要条件の一つ。 今、彼らの信頼を失う危険はなるべく、犯したくなかった。 のび太「仕方ないなあ、ドラエモンは。僕が君を守ってあげるよ。」 のび太は苦渋の決断の末言った。 ドラえもん「ありがとう。 のび太君!!」 青狸は自分の前を歩き出す。 それを後ろから見つめるのび太の顔は、屈辱に歪んでいた。 次へ
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のび太(出展:ドラえもん 原作:なし ) □プロフィール(暫定) 別名スリーピングスナイパー 元人間。現在はモノクマに改造された改造人間。射撃の腕は某ヘイへ並み □キャラ情報
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名前:パリス アライメント:混沌・中立 年齢:17歳 性別:女 メイン職:ウィザード lv38 サブ職:ドルイド lv25 プリーストlv22 棒術師lv14 容姿:身長157cm 体重43kg 漆黒の髪に青目、肌は白 容姿詳細 性格:完全に適当。ただ、仲間思いではない。 服装:黒ローブに三角帽子を深被りしていて顔はあまり見えない、が本人はちゃんと見えている ステータス:HP C+ MP C ATK:D MATK A DEX E DEF:D MDEF B SPD E+ LUC C PASSIVE・SKILL カオス・ヴァルキリー:戦闘時、敵ユニットに「秩序」のアライメントが存在する場合MPに+補正を加える 深淵の加護:このユニットは闇属性の耐性を50%増加させ、聖属性の被ダメージを50%増加させる 深淵に魅入られし者:このユニットは無属性以外の魔法攻撃スキルを習得できない 代わりに無属性攻撃魔法のMP消費が低下する マナ・ウォール:戦闘開始時、任意の味方ユニットのDEF・MDEFを++する。 焼肉クイーン:戦闘開始時、自身のHPに+補正を加える事が出来る。 レジスト:戦闘開始時、任意の状態異常を選択する事でその状態異常に50%の耐性を任意の味方ユニットに付加する。 SKILL 無魔術(Lv4):一流と言って遜色ないレベルの無属性の呪文を得手とする。 その適正は、無魔術のみであれば使用魔力を軽減するほど。 無そのものへの耐性以外には、一切の抵抗を許されない混沌の術を得手とする。 回復魔術(Lv3):一人前の回復技能のレベルを備えている。 無魔術へ適正が特化している為に消費が激しいが、味方を助ける癒手の術。 魔導術(Lv3):一人前の魔道具・自然調和の術を備えている。 無魔術へ適正が特化している為に消費が激しいが、様々な自然の力を操る術。 棒術(Lv1):触り程度には棒の扱いを出来る。 装備:フレア・ワンド レア・ランク20 無属性 魔・打特性 赤色の月型の紋章がいくつも重なり合った花弁のような先端を持つ杖。 古より存在する無の魔術を象った杖で、どのような相手にも等しく鉄槌を下す無属性の力を秘めている。 また、先端に篭った魔力は筋力を高め、自身の魔力が切れても杖の魔力を消費して中々の物理攻撃を放つことが出来る。 とあるダンジョンにひっそりと存在していた杖。 アビスフィアー★ レア・ランク30 player:パリス 専用 MATK1 MDEF1 SPD+ PASSIVE・SKILL:れんぞくま(1ターンのうちに2回連続でMATK攻撃を行える。 ただし、使用すると消費MPが3倍になる) PASSIVE・SKILL:神速詠唱(1戦闘で1度だけ、魔術発動に対する妨害を無効にする) SKILL:クトゥルインストール(無属性チャージ) SKILL:アザトバースト(MP全消費で、300%全体ダメージ。貫通有回避不可。 更に70%の確率で状態異常「狂化」付与) アビスハット レア・ランク13 無属性 深淵の名を持つ黒の帽子。 深い漆黒に染められた厚い布は、古い民族の製法で作られており、魔力と集中力を高めて冒険者を助けてくれる。 アビスローブ レア・ランク15 無属性 深淵の名を持つ黒の法衣。 独特の雰囲気を放つそれは、古代のまじないを受けており装備者に対する集中の妨害や精神汚染をある程度防いでくれる。 備考:性格等は自己中、楽しいことに一直線なゴミクズ 仲間を思いやる事はあまりしない、が敗北が好きではないので基本味方のHPは満タンにしておきたいと思っている。 口調は~だネ。~だヨ!等、戦闘中だろうがふざける。自分の命が危険な状況になると外れる時がある。
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人物・経歴・略歴 パリス(Stan Palys) オリフォント高-フィリーズ-レッズ-東京 1930年5月1日右投右打186cm86kg 年度別成績・通算成績 シーズン打撃成績 年度 所属 試合 打席 打数 得点 安打 二塁 三塁 本塁 塁打 打点 勝点 盗塁 盗刺 犠打 犠飛 四球(故) 死球 三振 併殺 打率 長率 1964 東京 129 532 505 52 143 22 1 17 218 70 - 3 3 1 2 20(0) 4 47 13 .283 .432 1965 東京 104 414 380 53 104 21 2 25 204 72 - 4 3 1 6 24(4) 3 34 10 .274 .537 1966 東京 113 423 395 41 104 15 1 18 175 69 - 3 0 3 4 20(0) 1 46 17 .263 .443 1967 東京 100 264 245 21 68 11 1 6 99 42 - 1 2 0 3 13(2) 3 35 6 .278 .404 通算 4年 446 1633 1525 167 419 69 5 66 696 253 - 11 8 5 15 77(6) 11 162 46 .275 .456 守備成績・各種成績 シーズン守備成績 年度 総失策数 守備位置別出場数 1964 4 外128 1965 2 外101一12 1966 4 外110一2 1967 6 外37一34 通算(4年) 16 外376一48 タイトル・表彰 資料情報 外部リンク その他
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のび太 職業:キング・ブラッドレイの養子、ホムンクルス 説明 キング・ブラッドレイ夫婦の養子(原作通りなら) ハガレンでのプライドポジション。本多透にブラッドレイの子が出来たことをお父様に報告している 顔芸が達者